八月中旬の昼下がり、俺は自分の布団を抱えてベランダに出た。
こんなにいい天気なのだから、布団を干したら今日はふかふかの布団で寝れるだろう。
ウキウキしながら俺は自分の布団を干す。
「あ、そうだ」
せっかくならじんたんの布団も干してやろう。
俺はじんたんの部屋に入り、布団を引っ張りだした。
「よいしょ」
そのとき、ボトッと何かが倒れる音がした。
「あ」
やってしまった、と最初に頭に浮かんできたこの言葉。
赤黒い液体が、じわじわと布団に染み込む。
枕元に、コーラのボトルがあったのを気付かなかったのだ。
「まじか…」
俺は思わず頭を抱えた。
いやそもそもなぜ蓋をしてなかったのか、炭酸抜けちゃうじゃん。
閉め忘れた?それならじんたん、残念だけどかなりの馬鹿だ。
なにがともあれ、とにかく布団にコーラをこぼしてしまったことを謝りに行かねば。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。