結局、3時間にも及んだ入学式。
校長の話が長引きまくって生徒の半分は寝ていた。
私も寝てしまいそうだったが、後でお母さんに何か言われるのも嫌なので、必死に耐えた。
教室に行くまでの道。
みんなはだるい、めんどくさいを連呼しまくって、それぞれ席についた。
みんなはふざけんなー、を連呼して大ブーイング。
みんなはまたふざけんなー、やめろーとブーイング。
自己紹介?!
何言えばいいのか...
とあたふたしているうちに、美緒が口パクで伝えてくれた。
趣味...か。
天体観測とか、プラネタリウムぐらいしかないけど、これでいっか。
またバカにされないか心配だけど。
美緒が自己紹介してから少しあと。
いよいよ私の番だ。
自己紹介って、無駄にドキドキするから好きじゃない。
心臓バクバクのまま、私は黒板の前に立った。
教卓の前の美緒が、頑張れと目配せしてくれる。
ここが頑張りどころ、と謎に張り切る。
はぁ...終わったぁ。
呆気ないなぁ...。
本当こういうの苦手だから、勘弁して欲しい...。
「へー、杉浦さんってそういう趣味なんだ」
などの声がちらほら。バカにされてないといいけど...
私は、席について落ち着こうとしたその時。
突然、隣の人から声をかけられた。
無口で無愛想なやつ。
本当にいきなりだから、混乱する。
え、なんなのこの人。
すごく聞いてくるじゃん。
まぁ、どうでもいいですよね。
でもなんか嬉しい。
私はクスッと笑うと、男の人は顔色を変えた。
なんか赤くなってる、?
すごく目が輝いているんだけど。
無愛想は渡辺瞬...
無愛想から名前を聞けて、なんだかレベルアップした気がする。
改めて見ると、ほんと綺麗な顔してるなぁ...。
女子からきゃーきゃー言われて当然だ。
...なんで他の女子とは喋っていないのに、私だけに喋るんだろ。
不思議だなぁー...。
うっ、眠いっ...。
私は眠くなったので、話を聞いているふうにして寝た。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。