第7話

動き
61
2018/07/28 12:15
結局、3時間にも及んだ入学式。
校長の話が長引きまくって生徒の半分は寝ていた。
私も寝てしまいそうだったが、後でお母さんに何か言われるのも嫌なので、必死に耐えた。


教室に行くまでの道。
美緒
美緒
なにあの校長!
話長すぎでお尻壊れるかと思ったじゃん。
うぅ...これからの集会が地獄だって分かったね...。
咲
そうだね...
(眠い)
みんなはだるい、めんどくさいを連呼しまくって、それぞれ席についた。
朝野先生
朝野先生
んんーっ!
みんな、お疲れ様でした!
予定より1時間伸びて、校長先生はたくさんお話が出来たと喜んでらっしゃいました!
みんなはふざけんなー、を連呼して大ブーイング。
朝野先生
朝野先生
まあまあ、これもひとつの社会勉強だと思って頑張りましょう。
さあ、次は自己紹介よ。
出席番号1番の青木さんからお願いね〜
みんなはまたふざけんなー、やめろーとブーイング。
自己紹介?!
何言えばいいのか...
とあたふたしているうちに、美緒が口パクで伝えてくれた。
美緒
美緒
(とりあえず、名前と趣味言えばいいみたい)
趣味...か。
天体観測とか、プラネタリウムぐらいしかないけど、これでいっか。

またバカにされないか心配だけど。
美緒が自己紹介してから少しあと。
いよいよ私の番だ。
自己紹介って、無駄にドキドキするから好きじゃない。
心臓バクバクのまま、私は黒板の前に立った。
咲
えーっと、杉浦 咲 です。
教卓の前の美緒が、頑張れと目配せしてくれる。
ここが頑張りどころ、と謎に張り切る。
咲
趣味は、天体観測とプラネタリウムを見に行くこと、です。
よろしくお願いします。
朝野先生
朝野先生
はい、ありがとうございました〜。次の人〜!
はぁ...終わったぁ。
呆気ないなぁ...。
本当こういうの苦手だから、勘弁して欲しい...。

「へー、杉浦さんってそういう趣味なんだ」
などの声がちらほら。バカにされてないといいけど...
私は、席について落ち着こうとしたその時。
瞬
ねぇ...あんたって、プラネタリウム好きなの?
突然、隣の人から声をかけられた。
無口で無愛想なやつ。
本当にいきなりだから、混乱する。
咲
あぁ...まあ、うん。
すごく好きですよ。
瞬
そうなんだ。
誰かと行ったことある?
え、なんなのこの人。
すごく聞いてくるじゃん。
まぁ、どうでもいいですよね。
でもなんか嬉しい。
咲
う、うん。普段はおじいちゃんとだったけど、1回だけ男の子と見たことあるなぁ。
ってどうでもいいですよね。ごめんなさい。
私はクスッと笑うと、男の人は顔色を変えた。
なんか赤くなってる、?
すごく目が輝いているんだけど。
瞬
そうなんだ。
どうでも良くない。
咲
えっ...
あのー、お名前は?
瞬
渡辺瞬。瞬って呼んでくれたらいいよ
無愛想は渡辺瞬...
無愛想から名前を聞けて、なんだかレベルアップした気がする。
改めて見ると、ほんと綺麗な顔してるなぁ...。
女子からきゃーきゃー言われて当然だ。
...なんで他の女子とは喋っていないのに、私だけに喋るんだろ。
不思議だなぁー...。
うっ、眠いっ...。
私は眠くなったので、話を聞いているふうにして寝た。

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