第8話

奇跡
20
2018/12/23 15:42
【瞬side】

ああっ...本当に奇跡か。
まさか戻ってきていたとは、夢にも思わなかった。
凛とした鈴のような声を聞いて、プラネタリウムが好きと言ったとき、俺は驚いた。
...まさか
あの子はもういない。あれだけ探したのにいないなんてもうどこかに引っ越したに決まっている。
そう思っていたのに。

「ある日、男の子と1回だけ行ったことがあるなぁ。」

この時、確信した。
あの時の子だと。
確たる証拠ではないけれど、絶対この子だ、という謎の自信に満ち溢れていく。
空っぽだった俺をここまでにさせた女の子は君しかいない。
プラネタリウム、本当に綺麗だった。
2人で綺麗な星空を見て、笑いあった。
あの時は幸せだった。誓いもできた。
思い出が次から次へと込み上げて思わず目に涙がたまる。
それを袖で拭うと水がしみていく。

彼女は小さい頃はロングだったが、今は肩ぐらいのボブ。顔は少し大人っぽくなったか。
成長したのと、俺の記憶が少し曖昧なのか。

綺麗な顔は、昔と変わっていないなと思った。曖昧だったけれど、顔つきは何となく覚えていた。

...やべ、俺ってここまでやばいやつだったかな。

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