家━━━━━━━━━━━━━━━
るぅとside━━━━━━━━━━━━━━━
莉犬はあなたお姉ちゃんが出ていってから
ひたすら泣きじゃくっている
バンッ
ころん先輩には珍しく取り乱している
大きなため息をついているのはさと兄だ
そして莉犬の背中をひたすらさすっているのは
ななもり先輩だ
なんかもう心臓に悪いですよ…
でも
お姉ちゃんは絶対帰ってくる!!
あの時みたいに!!
回想━━━━━━━━━━━━━━━
これは…まだ親がいた頃だ
父はお姉ちゃんの父で母は僕達の母だった
バタンっ
あなたはきっとお父さんが出ていった悲しみよりもお父さんが「自分をおいて」出ていったことへの悲しみの方が大きいだろう
あなたお姉ちゃんは逃げ出した
当時小3と小2と小1だ。
取り乱すのも仕方ないだろう
母もパチンコで遊び回り、
男とすぐねるような女だった
お母さんは僕の頭を叩く
バシッ
バタン
扉が静かに閉まる
さと兄はそう言い残すとリビングを掃除し始めた
僕には何もわからなかった
ただただ、あなたちゃんが心配だった
僕はふと思った
これって、本当に家族愛なのだろうか
これも僕には分からなかった
三日後━━━━━━━━━━━━━━━
僕達は内緒で母の通帳から生活費を出していた
さと兄は僕と違ってずいぶん余裕そうだった
二日後━━━━━━━━━━━━━━━
学校から帰るとさと兄の姿がなかった
机に
というメモがあった
これ以上…僕を1人にしないで…
僕はさと兄が片付けた綺麗なリビングで
一人泣きじゃくっていた
すると、
•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
スマホの着信音が聞こえた
母は…いやあの女はスマホも忘れたのか…
画面を見ると知らない男性からのものだった
しばらく無視していると通話は切れた
僕はスマホのパスワードを入れてみる
適当だったがすぐ開いた
そして「自殺」と検索した
すると、
「死にたい時に聴きたい曲」という記事があった
思わず僕はその記事を開く
再生
🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
僕の目からは涙が零れていた
これが僕とVOCALOID(ボカロ)との出会いだった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!