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第5話

冷酷な男
2,385
2018/12/03 21:16
謎の男
謎の男
う、あぐ、っ…



バンと銃声のような音が聞こえた数秒後。


男は唸り声を上げてその場に倒れると足をばたつかせてのた打ち回った。


◯◯
◯◯
え…?

状況が理解できない私の視界に入ったのは、倒れた男の前に佇むユンギの姿で。



よく目を澄ませると、片手には銃が握りしめられていた。




そして、その銃をもう一度男に向け何度も何度も発砲する。



◯◯
◯◯
ユンギ…っ、もう止めて…!



苦しむ男の声があまりにも痛々しくて叫ぶけれど、ユンギは手を止めようとはしない。



結局、動かなくなるまで発砲を続けた。


ユンギ
ユンギ
あなた電話貸せ
死体処理班に連絡する
◯◯
◯◯
…っ
ユンギ
ユンギ
泣いてねぇで早く貸せ、ほら。
じゃないと騒ぎになる


震える手で携帯を渡すとユンギは速攻で電話を掛けた。

今さっき人を殺したっていうのに流暢に話を進めるその姿を見る限り、ユンギには情なんてもの存在しないんだと思う。




ユンギ
ユンギ
あと数分でこっちに着くらしい。
なんとか間に合うな
ユンギ
ユンギ
…お前いつまで泣いてんだよ。
いい加減泣きやめ


眉間に皺を寄せながらこちらに近づいてくるユンギに体が勝手に反応する。

ユンギ
ユンギ
…そんなに怯えなくてもお前を殺すわけねぇから、
ユンギ
ユンギ
……あと、遅れて悪かった。
◯◯
◯◯
……え


まさかユンギが謝るなんて思ってもみなかった。



謝ることに慣れていないらしく、恥じらいを隠すように後頭部を掻くその姿は本物なのかそれとも偽りなのか…私にはまだ分からない。

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