高校生に任せるなんて、ついにパパは私の命なんてどうでもよくなってしまったのだと思った。
″今までの誰よりも″
その言葉に驚いて唖然としていたら、背後からコンコンと部屋をノックする音が聞こえてはっとした。
重圧な扉のドアノブをガチャリと鳴らして開かれる。
ガタイの良い黒スーツの男達に連れられていたのは、周りの男より明らかに華奢で血管が透き通るほど色素の薄い肌をしている男の子だった。
眉間に皺を寄せて、私の顔をじっと睨みつけてくる。
″目的はなんだ″と、彼はその鋭い眼差しを今度はパパ向けた。
なんなのこの男。
態度も大きい上に口が悪すぎる。
今までの護衛を遥かに上回る報酬額だ。
悔しいけれど、それだけこの色白男には実力があってパパからも期待されてるってわけね...。
この色白男も金が欲しいってわけか。
どいつもこいつも金、金、金って…。
本当にこの世の中は汚い。
色白男は万筆を手に取ると言われた通り契約書に ″민 윤키″ と名前を残した。
人を小馬鹿にしたように鼻で笑う姿を見て、はらわたが煮えくり返ろうとするのをなんとか堪えた。
第一印象は最低最悪。
こんな男とこれから過ごしていくなんて....。
これからの事を考えるだけで気が滅入る。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!