そして突然こんなこと言ってきたマユカ。
うそ、何かヤンキー感出てるし。イケメンだし。
マコちゃんはやっぱりビビってるからか
ちょっと怖気付いてるし
マユカの勝ち気な笑みが珍しくて、ちょっとドキッとする。
いや、ちょっとじゃなくて結構。だいぶ。
いじけてうつむくマコちゃん。
さすがに可哀想で、その背中をさすってあげる。
私、取り合われるような人間じゃないんだけど。
何かの間違いじゃないかって何度も考えたし
今でも理解出来てない。
2人とも、私のどこが好きなんだろ。
急にマユカは話題を変えた。
マユカは休み慣れてるかもしれないけど
これでも私は学校では優等生演じちゃってるし。
成績ないと進学困るし。
.......でも、もし私が行ってリクを傷つけちゃったら。
リクの傷をさらに深く抉ってしまったら。
そう思って、返事が出来なくなった。
また私を惑わせる言葉が出てきてしまって
マコちゃんへの申し訳なさも思い出してしまう。
あー.........どうしよ。
こういう時に決めれないのも私の悪いクセ。
決断力欲しいなぁ.......
私が悩んでたら、マユカが笑いながらそう言った。
いやマユカは何を勧誘してんの?
なぜか嬉しそうな表情で、マコちゃんは私を見ながら言った。
何でそうなんのよ。
こうして私は学校を、はじめて丸々2週間休んだ。
その間もリクからの連絡は来なかった。
昼間は勉強の遅れが怖くて机に向かって
たまにマコちゃんとLINEして
夜はバイト帰りのマユカと電話したり。
マユカへの好きは日を重ねるごとに大きくなっていくけど
正直、それ以上にリクを傷つけたことがショックで。
電話してたら、マユカはちょっと落ち着いたトーンに変わって
気づかないうちに私の声も暗くなってたみたい。
優しい声に、ちょっと泣きそうになる。
図星だったのか、マユカはその言葉で黙った。
マユカは少しだけ黙って、それから話し始めた。
あっさり笑って、辛い過去を語るマユカ。
その笑い声に、涙が含まれてることが何となくわかった。
一気に喋って、その後鼻をすするのが聞こえてきた。
私は胸がきゅーっと締め付けられた。
マユカとリクを離してしまった自分が情けなくって
その行動の代償がいかに大きかったかが分かる。
もうこの好きからは逃げない。
リクを傷つけた以上、中途半端なことは出来ない。
電話口でもマユカが照れてるのがわかる。
いつもに増してその声が可愛く聞こえてこっちも嬉しい。
2人してちょっと落ち着いて
ちゃんと行くってお互い念を押して。
このままだったら私たち絶対行きたくなくなるから。
そう言ってスマホを耳から離して、
電話を切ろうと画面を見たら
マユカの声が聞こえたから慌てて耳元に戻す。
恥ずかしくて嬉しくて、携帯から聞こえてくるその声がくすぐったくて
気づいたら何も言わずに電話を切ってた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!