お怒りというLINEのあとに、家の固定電話が鳴り出した。
慌てて確認しに行くとそこには『リク』の文字。
まさかと思うけど.........見られてたとかじゃないよね。
たしかに...........
出ても出なくてもやばそうだけど。
どうかこの嫌な予感が外れていますように。
私はリマちゃんとの電話を切った。
リビングに出て、リクからの電話を取る。
嗚呼..........電話先でもわかる、めちゃくちゃ怒ってる。
心臓が痛くなった。
胸が苦しい。ひどく苦しい。
スリーアウト。攻守交替.......などは不可能で
リクから辛くなるほど畳みかけられる。
予感は的中してた。
私の頭の中は真っ白で
リクへの申し訳ない気持ちばっかりが湧き出てくる。
言いたいことたくさんあるけど、すべてが言語化できなくて何も言えない。
その声は既に届かなかった。
電話の切られた音が、私の脳に響き渡る。
リマちゃんにそれを報告するのも億劫で
私はその場でへたりこんでしまった。
私は大好きな友達のリクを傷つけてしまったんだ。
マユカが悪いとか、私は何もしてないとか
弁解の言葉が沢山浮かんだけど
その言葉はすべて、脳内で否定されて
後に残ったのは、大量の罪悪感だけ。
リクがマユカを好きだってことも
そのマユカに好きって言われたことも
全ての事実が私に粘っこく絡みついてきて。
もはや私はマユカのこともリクのことも、何も考えられなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!