文通恋愛

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差出人不明の贈り物

江口「ん………お？」

ある日、萎んだ風船を見つけた。その風船にくっついていたのはちょっとくすんだ便箋。中は、丸っこい可愛らしい字で書かれた、文通しましょうのお誘いのお手紙だった。

顔も知らない彼女。知り得る情報は、最初の手紙に書いてあった自己紹介と住所と、文から滲み出る淡い性格だけ。

江口「俺、好き……かもしれん……」

西山「……はい！？」

後輩が付けた『文通のキミ』というあだ名。文通を重ねていく度に募っていく想い。

〈あなたに、会ってみたいです。〉

江口「……っかぁ！恥ずかしっ！何書いてんだぁ俺ぇっ！」

屑カゴに積もってゆく山盛りのクシャクシャに丸まった書き損じの便箋たち。年甲斐もなく悩んで、何度も書き直した最後の手紙。

江口「好きですと言えたら、どれだけ幸せだろうか……。」