『翔!!2人で絶対1番になろうね!!』
そう言ってから約6年。彼女は今も、この約束を覚えてくれているのだろうか。
……まぁ、裏切ったのは俺なんだけど、、
あれ以来帰ってなかった日本。これからまた海外に出る予定はない。
だから帰ってきた。日本に。あなたとまた、ピアノを弾くために。
あの姿はあなただ。そしてその後ろを歩いているのが潤。
潤の隣には智さんがいる……だれだよ、あの男。
……あなたの隣を歩いていいのは、俺だけだ。
いったいどんなやつなんだよ。
あなたとまたピアノを……あなた俺は、あいつと……
そんなことをずーっと考えながら俺はピアノを弾いていた
気の向くまま……そう言えばいいのだろうか
空っぽな演奏になってしまうのも、聞いててつまらないのも分かってる
でも俺はそれをわざわざ人に言われるのが大嫌いだ。
なのに、こいつは……
なんだあいつ
喋れば喋るほどあいつの性格が掴めない。むしろ、あっちのペースに飲み込まれてしまう。
……二宮和也、ね。
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コンコン
コンコン
パタン
なんで、今更っ……
私は、、ずっとっ……
考えれば考えるほど涙が溢れ出る
子供の時から変わらない大きな目、撫でている肩、大人っぽくなった声
だめ、今泣いたら
生徒が構内を歩くど真ん中でこんな恥ずかしい姿見せられるわけが無い
どこか、どこか。人がいない場所……
そう思い、行った先は中庭のベンチ
滅多に人が来ることは無い、だからこそ……
ぽんぽんと頭を撫でて
彼はニコッと笑って行ってしまった。
なんと言ったのだろう。翔が王子様で、私がお姫様と仮定するなら……
なら、彼は?
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二宮さんは何を考えているのか。
あなたはどちらを選ぶのか……!?
♡、感想くださると嬉しいです。
ではまたどこかで。作者でした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。