夜中、おれははっと目を覚ました。今日はいっしょに寝たいと言って聞かないじょんぐがを抱き締めて寝ていると、唸り声が聞こえてきたのだ。声の主はじょんぐが。汗をだらだらと垂らして、何かに魘されているようだった。
th「じょんぐが…!」
jk「はぁ…ッ、ぅぅ~…」
息も絶え絶えで辛そうで、おれはじょんぐがの頬を撫でて落ち着かせようと試みる。しかしなにも状態は変わらず、ただただ魘され続けていた。
th「じょんぐがぁ…」
jk「ッ , !!!」
びくりと体が跳ねてぱちりと目を覚ましたじょんぐが。よかった目を覚ましたと思ったのも束の間、いきなり泣き出しておれに抱きついてきた。
th「どうしたの… , おれはここにいるよ」
jk「ひょ…っが、いなくなる…ゆめみた…ぁ」
ひくひくと泣きじゃくりながら嗚咽を溢しながら、そんなことを口にする。なんだそんなことかと思いつつも、内心じょんぐがの中でおれはそんなに大切な存在なのかと改めて感じて嬉しかった。大体、今の今まで意識がなかった人が近くにいたんだから、そんな怖い夢を見たのも納得だ。
th「じょんぐが、外出る…?」
jk「でる…っ」
うるうるとまだ涙を溢しながら、こくりと頷いた。外に出て空を見上げると、辺りは真っ暗でじょんぐがと二人だけになったみたいな感覚に襲われた。さらんへ、とじょんぐがに声をかけてやる。
jk「…など……」
th「ふふ、嬉しい…」
この数日で大分大人になれた気がする。じょんぐがも頼りになるけどやっぱり子供なのは変わらないし、なによりおれより年下っぽいのはずっと変わらない。
jk「てひょにひょん、大好き」
th「あぃ、そんな風に言われたら、照れるじゃん」
jk「えへへ , 」
天界ではあり得なかった日々。おれたちは草むらに寝転がりながら、うとうとと時間が過ぎるのを待った。少し起き上がって遠くにある大きい木を見詰める。
th「あれいつからあるの…?」
jk「分かんない…俺が生まれたときにはあったよ」
th「じゃあ、すごく長生きさんなんだね」
ふふ、と笑ってじょんぐがに言うと、目をくしゃりとさせて同じように笑う。するとぱたぱたと遠くからなにやら白い…天使が飛んできた。
th「ほびひょん… ?! 」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!