-th side-
ぴと、とぐがにくっつかれて身動きが取れなくなってしまった。というのは少し大袈裟だけど、抱きつかれたまま動くことになってしまった。ご飯を食べるときも、食器を片付けるときも、木の実の整理をするときも、決して離れてくれなかった。
th「ぐがぁ~…動きにくいよ…」
何度目かの注意。しかしまたじょんぐがは、ん~で流しておれの肩に顎を乗せる。ぐりぐりとされて少しだけくすぐったい。流石に作業の妨げになるので、ぽんぽんと頭を優しく叩いてやると渋々離れてくれた。
jk「テヒョニヒョンがいないと、寂しい」
th「うん、」
jk「いない間、どれだけ一緒に居てあげたと思ってるの」
そんな風に偉そうに言うじょんぐがだけど、目にはまた涙が溜まってきていた。相当な寂しい思いをさせてしまったのだなと、おれはじょんぐがを抱き締めて頭を撫でる。
th「泣かないで…」
jk「ぱぼ… , そう言われるともっと泣きそうになるの…」
th「ふふ , 泣き虫さん」
じょんぐがはおれから離れてごしごしと涙を拭くと、木の実の仕分けを一緒にし始めた。こういう風に垣間見える弟感が堪らなく愛おしい。
jk「テヒョニヒョン、地獄に大分慣れたね」
th「おれ、もうここに居ることに決めたんだ」
jk「……………え?」
我ながらとてつもない爆弾発言をしたとは思うが、じょんぐがの方に向き直ってにこりと微笑む。
th「おれのことこんなに愛してくれるのは、じょんぐがしかいないんだよ」
jk「でも… , あっぱとかおんまは…」
th「おれたちのところはあっぱもおんまもいないんだ、じょんぐが達と同じで、皆神様から生まれてくるから。」
じょんぐがはそうなんだと頷いた後、それならここにいてくださいとぼそぼそと小さい声で言ってくれた。そして嬉しそうな笑顔を見せてくれる。じょんぐがのこの笑顔を見ることが、おれにとっての一番の幸せだなと感じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。