怜央side
楓真の誕生日当日
俺にしてはだいぶ珍しく、予鈴の30分ほど前に学校に着く
荷物を教室に置いて、楓真の教室に行く
生徒は5、6人ほどしかいない
後ろのドアの辺りに立つ
そんなこんなで、10分ほど
ちらほらと登校してくる生徒も増え始め
友達と楓真が教室にくる
「今日、俺の家来ないか」って
ずっと言おうとしてたのに、結局言えずに当日まで来てしまった
今言わないと
そう言うと楓真はパァっと顔を輝かせる
楓真の教室から出て階段に向かう
「誕生日おめでとーー!」
「はいよ、誕プレ」
「16歳満喫しろよ!」
などと楓真を祝う声が後ろから響いてくる
そう、実は俺は今日に向けて、幼なじみのあいつに料理を教えて貰っていた
さりげなく聞いた楓真の好きな食べ物、ハンバーグとクッキー
最初こそ、これは本当に食べれる物なのだろうかと疑うほどのレベルだったが
毎日夜ご飯をハンバーグとクッキーにして練習した成果が現れ、今では正真正銘、立派なハンバーグとクッキーだ
そう言い聞かせるも不安は拭えない
・
・
クッキーは焼けて甘い匂いが漂っている
そしてハンバーグも後はオーブンに入れるだけ
急いでエプロンを外し、もう一度制服に着替えて家を出る
学校に着いて楓真の教室にいくと、丁度終わったところだったようだ
楓真を探そうとすると
バレないように話を合わせる
ふたりで歩いて、俺の家に着く
リビングに入った途端、楓真の目が見開かれる
なぜかというとダイニングテーブルの上には既に、サラダやスープ、パンなどを並べてあったからだ
余熱済みのオーブンにハンバーグを入れて加熱を始める
黒のスタイリッシュなデザインのパスケースを渡す
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。