楓真side
朝、先輩が祝ってくれて。家にも誘ってくれて
友達も祝ってくれてプレゼントもくれて
十分幸せな誕生日だと思ってた
なのにまさか先輩が俺にプレゼントくれてその上ご飯も作ってくれてるとは
幸せすぎる
先輩がくれたパスケースを見てると頬が緩むのが抑えられない
その時。キッチンからピーッと音が鳴る
俺の好きなハンバーグだ
そう言いながらも先輩は食べる様子はなく、そわそわと俺の方を見ている
ハンバーグをひとくち口に入れる
あからさまにホッとした先輩にますます笑みが広がる
ふたりでご飯を食べ終わると先輩が2人分の皿を下げて
丁度ふたりで食べるような小さめのサイズのホールケーキを持ってくる
そう言いながら先輩がカチッとライターを付けてロウソクに火をつける
ふーっと火を消して先輩の皿と自分の皿にケーキを取り分ける
そう言ってクッキーを手渡す
俺、今日が今までの誕生日で1番嬉しくて幸せな誕生日だった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!