第2話

4/28 ②
29
2020/03/19 21:00
丸山丈
丸山丈
Heavennovel…。
いつも見慣れているはずの検索結果に表示された、見慣れないサイト名。トップサイトのサービスが変わったのかとも思ったがそれも違う。普段トップにいるはずのサイトは、2番目にあった。
丸山丈
丸山丈
入るか…。
が、そのサイト、Heavennovelヘブンノベルには俺を惹きつける何かがあった。

一応言っておくが、俺は冒険心が少ない方だ。少なくともレストランで1度これと決めてしまったら、もう次以降そのメニュー以外は頼まないレベルには。

だがHeavennovelだけは違った。

いつもの俺なら無視していつも使ってるサイトに入るのに…。

そもそもHeavennovelに誰がどんな小説を投稿しているのかも知った話ではないのに…。
丸山丈
丸山丈
…いざ!!!
スマホの画面をタップして、そのサイトに入る。

ブラウザは少しだけ読み込んで、そのサイトを表示した。
丸山丈
丸山丈
これが…ヘブンノベルか…。
表示されたサイト、ヘブンノベルには入ってすぐに大きくこう書いてあった。

「あなたの遺すべき物語、残しませんか?」

正直言って違和感が凄い。
ただ、違和感はそれだけじゃなかった。
下にスクロールする度にその違和感はどんどん増してゆく。

サイトの項目自体は通常の小説サイトと何ら変わりないが、単純に入りづらい。
これまでも敷居が高い小説サイトならいくつか見てきたし、その度に入りづらさを感じてはいたのだが、今回は違う。

まるで、穏やかに止められているような…
時任先生
時任先生
おい、そろそろ学校閉めるぞ。
丸山丈
丸山丈
あ、はい!
体育科で生徒指導係の時任ときとう先生に呼ばれて、俺はふっと我に返る。時刻は気がつけば午後6時を過ぎていた。この学校ではこの時期、文化系クラブの人間は午後6時完全下校という決まりがあったので、俺は仕方なくスマホを閉じ、言われるがままに校舎を後にした。
丸山丈
丸山丈
さてと…
帰りの電車の中で俺はスマホを開く。

理由はもちろん、さっきのサイト、ヘブンノベルに入るためだ。

本当は家に帰って続きを見ようかと思っていたが、何故か気になってしょうがない。

あんなに重みを感じたのに…好奇心というのは強いな。

さっきの画面。さっきの雰囲気。全く変わらなかった。
丸山丈
丸山丈
これは…。
1つ、俺はこの重い雰囲気の中で気になる小説のタイトルを見つけた。

タイトルは…
丸山丈
丸山丈
"If story"…。
"If story"。
直訳すれば"もしもの話"。なんてことないタイトルだ。
…が、俺はこのサイトに投稿されている数ある小説の中からこれを、これだけを読みたいという気持ちで溢れていた。
むしろこのサイト独特の重さを、これが打ち消してくれるという確信さえ、俺は持っていた。俺はすぐに小説を開く。
丸山丈
丸山丈
あれ?まだ、第1話しか無いのか…。
その小説、"If story"には第1話しかなかった。少しして、そこにはNEWという単語が付いていたことを理解する。

そうかそうか、新人さんか。俺と同じだな。

俺はタイトル画面をタップし、その小説を読み始めた。

プリ小説オーディオドラマ