第5話

卒業式
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2018/03/02 12:22

晶はことある毎にあたしと写真を撮るようになった

クラスの皆で撮る時も必ずあたしが含まれるようにしていた

最初は戸惑っていたが笑ってる晶を見ているうちに

気がつけばあたしも笑って写真に映っていた

「晶はすごいね」

「え?」

「晶が笑うとあたしだけじゃなくてクラスの皆も笑顔になる。…晶はまるで太陽みたい。だから、写真もすごく撮りがいがあるよ」

あれ?そういえば、あたしって…

「…ありがとう、莉緒(ニコッ」

いつから写真を撮るのが好きになったんだっけ?

そして、あっという間に2ヶ月という月日は流れ

3月1日 卒業式となった

「晶!」

あたしは慧を連れて晶の元に駆け寄った

「どした?」

「3人で写真撮ろ!お母さん!」

あたしは母にカメラを頼んで2人の間に入り込んだ

「はい、チーズ」

パシャッ

「ありがと~」

「ちゃんと撮れた?」

「バッチリ。今度、プリントアウトして渡すね」

「おう」

あたし達は同じ大学を受験してる

結果はまだ分からないが手応えは悪くなかったし、大丈夫だと思う

「ねえ。晶、慧?」

「「ん??」」

「これからもよろしくね♪大学行ってもいっぱい写真撮ろうね!」

「……ああ」

「…うん」

この時の2人は笑っていたが、どこか哀しげな表情をしていた

でも、あたしはその意味が分からなかった

それから5日後

大学の合格発表が行われた

結果は3人とも合格

嬉しくてあたしは晶に電話をかけた

しかし、その電話はつながらなかった

連絡先が消去されていたのだ

他のクラスの人にも聞いたが、誰も晶の連絡先を知らなかった

「晶……どこに行っちゃったの?いっぱい…写真とろうって…言ったじゃん。……晶ーーーー!!!」

晶は突如、あたしの前からいなくなってしまった






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