晶はことある毎にあたしと写真を撮るようになった
クラスの皆で撮る時も必ずあたしが含まれるようにしていた
最初は戸惑っていたが笑ってる晶を見ているうちに
気がつけばあたしも笑って写真に映っていた
「晶はすごいね」
「え?」
「晶が笑うとあたしだけじゃなくてクラスの皆も笑顔になる。…晶はまるで太陽みたい。だから、写真もすごく撮りがいがあるよ」
あれ?そういえば、あたしって…
「…ありがとう、莉緒(ニコッ」
いつから写真を撮るのが好きになったんだっけ?
そして、あっという間に2ヶ月という月日は流れ
3月1日 卒業式となった
「晶!」
あたしは慧を連れて晶の元に駆け寄った
「どした?」
「3人で写真撮ろ!お母さん!」
あたしは母にカメラを頼んで2人の間に入り込んだ
「はい、チーズ」
パシャッ
「ありがと~」
「ちゃんと撮れた?」
「バッチリ。今度、プリントアウトして渡すね」
「おう」
あたし達は同じ大学を受験してる
結果はまだ分からないが手応えは悪くなかったし、大丈夫だと思う
「ねえ。晶、慧?」
「「ん??」」
「これからもよろしくね♪大学行ってもいっぱい写真撮ろうね!」
「……ああ」
「…うん」
この時の2人は笑っていたが、どこか哀しげな表情をしていた
でも、あたしはその意味が分からなかった
それから5日後
大学の合格発表が行われた
結果は3人とも合格
嬉しくてあたしは晶に電話をかけた
しかし、その電話はつながらなかった
連絡先が消去されていたのだ
他のクラスの人にも聞いたが、誰も晶の連絡先を知らなかった
「晶……どこに行っちゃったの?いっぱい…写真とろうって…言ったじゃん。……晶ーーーー!!!」
晶は突如、あたしの前からいなくなってしまった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。