第134話

焼きそばパン
4,834
2020/08/23 11:34
あなたside

侑さんを見かけて安心したのか、治さんのジャージを着ていることを忘れてた。



転ぶ。と思ったけど、案内してくれた人が支えてくれた。



「あ、ありがとうございます!えーっと…北、さん?」



侑さんが北さんって呼んでたけど、



北「それ治のジャージなんやろ?気いつけなあかん。名前言うてへんかったな。北信介や。よろしゅう。」



「あ、あなたです!よろしくお願いします!!」



北「あなたか。ええ名前やな。」



そう言って優しい笑顔で頭を撫でてくれた。



優しい人みたいでよかった…。








侑side


訳が分からんかった。



なんで北さんとあなたが一緒に体育館に来たん?



その前に…



「…っ!あなた!なんでサムのジャージ着とるん!?」



あなた「治さんが着てこいって…」



…はぁ!?



着てこいってなんやねん!



まず何しに来たん!?



治「あなた、道分からんかったか?」



あなた「あ、うん。でも、北さんが案内してくれたから大丈夫!」



なんでサムはあなたが来ること知っとるん…



北「話の途中に悪いんやけど、治に用あったんちゃうん?」



北さんがそう言うたら、あなたがカバンの中から弁当を出した。



あなた「治さん達にお弁当届けに来ました!」



治「待ってたで!!」



サムは嬉しそうな顔で受け取った。



なんやねん…



いつの間にそんな仲良うなったん?



サムと話し終わったんか、あなたが俺の方に来た。



あなた「はい!侑さんのお弁当です!」



…俺の分もあったんや。



「あなたー!ほんまありがとうな!」



嬉しすぎて思わず抱きついてもうた。



治「なんや、ツムの分も作ったんか。



後ろでサムがなんか言うとったけど、無視や無視!



あなたの弁当食えるんやから午後からも頑張れそうや!










あなたside

他の人にも軽く自己紹介をして、今日だけマネージャーの仕事をやらせてもらえることになった。



2人とも喜んでくれてるみたいでよかった。



本当に美味しそうに食べてくれるなぁ。



「(ぐぅぅーーーー。)」



…そういえば、自分の分のお昼ご飯のこと忘れてた。



侑「アッハハ!なんや、自分の弁当持ってきてないんか?」



「わ、忘れてました!///」



ほんま可愛ええなぁ!って言いながら頭をわしゃわしゃしてくる侑さん。



「侑さん、少しお弁当分けてくださ…ってもう食べたんですか!?」



少しだけもらおうと思ってお弁当を覗くと、米粒1つも残っていなかった。



侑「あなたの弁当美味すぎるからもう食べてもうたわ!」



…部活終わる時間まで我慢しよう。



そう決心した時、目の前に焼きそばパンが!



『…食べる?』



確か…



「す、角名さん…?」



角名「俺、もうお腹いっぱいだから。あげるけど、」



「ありがとうございます!!」



北さんといい、角名さんといい、



優しい人多すぎるよ!













角名side

急に体育館に現れた1人の小さな女の子。



最初はそれだけの印象だった。



…でも、その子に対してデレデレな侑と治を見て興味を持った。



会って1日で、あの侑と治が心を開くなんてありえないから。



しばらく様子を見ていても、どこに惹かれたのか分からなかった。



『(ぐぅぅーーーー。)』



確かにその子の方から聞こえた。



2人のお弁当を用意して、自分の分を忘れたらしい。



ちょうど焼きそばパンが残ってたから、



「…食べる?」



聞いてみた。



いらないって言ったら別に持って帰ればいいだけだし。



あなた「ありがとうございます!!」



笑顔で言われた。



その笑顔もそうだけど、



焼きそばパンを食べてる時の幸せそうな顔がすごく可愛いと思った。



侑と治も、普段の2人からは想像もできないくらい優しい顔で見つめてるし、



北さんも少し頬が緩んでる気がする。



俺も、不思議と胸の辺りが締め付けられるような感覚がしたけど、



気のせいだと思うことにした。









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