さとみくんにおぶってもらって着いたのは、
…アパート?
チェっ…お家じゃないのか。
さとみくんにおぶって貰ったまま玄関に入る。
大きなソファーにそっと座ると、挫いた足をさとみくんの膝の上に置かれた。
さとみくんは、絆創膏を私の足に貼ってくれた。
呼び捨て……っ。
そのとき、
「ガチャっ」
玄関を勢いよく開けて入ってきたのは、信号組の3人だった。
私とさとみくんが2人きりで居ることに驚いたのか、3人ともポカーンと口を開けている。
「ガチャっ」
大人組参上。
このままじゃ喧嘩になっちゃう…
私のせいで…。
私は挫いた足を指さしながら言った。
さっきまで騒がしかった部屋が一気に静まり返った。
ぺこっとお辞儀をして、カバンを持って部屋を出ようとした。
ま、まさかっ!
推しとサブ推し両方に心配して貰えるなんて…!
幸せ。
時計を見ると、いつもなら夕ご飯を食べている時間だった。
少し屈んで私に話しかける莉犬くんは子犬以上に可愛い。
キッチンから私を呼ぶさとみくんの声が聞こえた。
まるで彼女にでもなったみたいで、なんだかワクワクする。
作戦どおり。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。