さとみside
俺のリスナーさんが次々と握手をしに来る。
「大好き」
「がんばってください」
「これからも応援してます」
そんな言葉が一気に俺の耳に飛び込んで来る。
でも、それを聞いている余裕など無かった。
このハンカチを早く返さないと。
手に汗が滲む。
「次の方どうぞ」
というスタッフの声と共に、あの子が現れた。
誰にでも捧げている言葉を与えた後、細くて綺麗な手を握った。
そう言って帰ろうとするあなたちゃん。
いつ渡そうか。
今しか会う機会はない。
でもスタッフの目の前でハンカチを渡すわけにも行かない。
俺は背を向けるあなたちゃんの手をパシッと掴んだ。
俺が耳元で囁くと、頬を赤くしてコクリと頷いた。
その姿がものすごく…
可愛かった。
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あなたside
おっしゃぁ…!
2時にファミマ。
作戦通り♪
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。