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第2話

#2
─────────はぁはぁはぁ‥‥


走り続けている足の感覚が無くて変だ。喉が渇いて痛い。
吐きそうなくらい気持ち悪い。
木乃葉
っ‥‥‥
私は走った。
天下のお膝元と呼ばれるこの江戸の街を。


私は絶対に足を止めない。

まだ走っていないと壊れてしまうから。
まだ走っていないと崩れてしまうから。


私の十五の祝いに、江戸へ行くと家族で約束した。

なのに。それなのに。
こんな形で江戸に来たかった訳じゃないのに───────。
街の人
ねぇ聞いた?
街の人
あぁ、あの噂ね。
さっきからずっと、街で噂をよく聞く。

その内容は、走っている私に聞くことは不可能‥‥‥というよりは今は何も聞きたくなかった。
ただ、目的を果たす為に私は走らなければならない。
街の人
“落城の守人もりびと”がまた出たらしいよ。
噂を聞く度に、「落城の守人」というワードが聞こえてくる。


───────いや、そんなことはどうでも良い。
木乃葉
お父さん‥‥お母さん‥‥‥カノ‥‥‥
私は、生かされたこの命を抱えて走るのだ。





















随分と長く走った。もう暗い。夜だ。

恐らく、私が今いるこのもりは「ケガレの杜」と呼ばれる所だろう。

ケガレが多く住まう杜、それが「ケガレの杜」だ。
木乃葉
この奥にお父さんたちが言ってた場所が‥‥‥





─────────ガサッ





突如、背後から物音がした。








─────ケガレの杜、それはケガレが多く住まう杜。



ケガレは人を襲い、喰らう。



ケガレ
ひひっ、久しぶりの餌だ!
それは夜に現れ、人の言葉を喋り、人の形をした化け物。
木乃葉
ケガレ‥‥‥
あの時の悪夢が蘇る。


黒く、赤く、金属が錆びたような匂い。
それが壁に飛び散り、私の家族を中心に家中へ広がってゆく。

そして、恐ろしい程の奇妙な咀嚼音そしゃくおん



足が震える。手が震える。動けない。叫びが声にならない。

逃げないと。この化け物から早く─────
ケガレ
大人しくしなっ!
ケガレは私一直線に飛び出した。
木乃葉
いや‥‥‥
まだ約束を果たしていない。だからまだ死ぬわけには‥‥‥
木乃葉
っ‥‥‥
私は走った。既にボロボロな足を叩いて、一刻も早く逃げられるように。

風をかき分け、必死に走る。

まだ夜は明けそうになく、ケガレは無我夢中で私を追いかける。







───────ふと、前を見ると鳥居があった。

鳥居の向こうには何段もの石の階段がある。


もしかしたら、隠れられる所があるかもしれない。



私は鳥居をくぐり、石階段を駆け上がる。
階段の段数を数えるという、妹とした遊びも今はできない。

ただ、逃げるのだ。





木乃葉
はぁはぁはぁ‥‥‥
必死の思いで石階段を駆け上がると、そこには古びたやしろがあった。
木乃葉
よし、ここに逃げ込めば‥‥‥‥







──────────グシャッ





突然、奇妙な音と共に、肩に激痛が走った。
ケガレ
やっと捕まえた‥‥‥
ケガレに食べられている・・・・・・・
木乃葉
あぁっ‥‥‥‥!!
体を倒され、ケガレが私の上に乗った。
そして、容赦なく私を喰らい始める。
木乃葉
う″ぁぁぁっ!!!
痛い。苦しい。辛い。



─────そうか。皆、こんなに痛かったんだね。


ごめんなさい。助けられなくて。
ごめんなさい。もう約束は果たせそうにないよ。



痛いという感覚が無くなり体が動かなくなった頃、一粒の涙が頬を伝った。







ごめんなさい。皆‥‥‥。










































────突然、ケガレの動きが止まった。








私は気になり、思うように開かない目を一生懸命開けた。



首が、落ちている。



そして、首を落とされたケガレの真後ろには、綺麗で長い黒髪を後ろで一つにまとめて、藤色の瞳を持った青年がいた。

青年の手には血の付いた刀が握られている。

‥‥‥ケガレは、この青年に首を落とされたのか?
木乃葉
あ‥‥う‥‥‥‥
話しかけたいのに、声が出ない。
青年
相当やられたな、お前。
その青年の声は、驚くほど綺麗で、透き通っていた。
木乃葉
ありが‥‥とう‥‥‥‥
青年
あー、喋るな喋るな。傷に障る。
青年はそう言って私を軽々しく抱き上げると、歩き出した。

すると、私はあることに気付く。


─────────杜が、ない。

さっきまで杜にいたのに。木も、草も、あの石階段も、鳥居も、社も何も無かった。


唯一見えたのは、壊れた家や店から雑草が生えている光景‥‥‥まるで、落城の地だった。


どうやってここまで来たのだろう。

そんなことを考える暇も無く、私は力尽きて青年の腕の中で意識を手放した。

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月渡 雫
入賞者バッジ
月渡 雫
《 テスト期間突入。低浮上確定。テスト滅びr((殴 》 最近、小説更新するので精一杯です。(更新も危うい)なので‥‥‥はい。笑 コメント返信とか更新された作品を読むとか‥‥‥そういうのは少し遅くなります。 浮上していても更新された小説を読まない時もあるので予めご了承ください。 サブ垢↓ user/50cfe3+ 〖連載中〗 ・その先に、僕らはいない。 ・地獄ゲーム ・ケガレの杜 〖専用タグ〗 #月渡る お知らせは「月渡ってるお知らせ」をご覧あれ!← プロフィール画像を変える速さ尋常じゃない。 ( 訳 飽きっぽい。 ) フォローさんは尊敬様!! 読者様には感謝感激!!。+゚(*ノ∀`) (。・艸・) (。-艸-)) (( 。>艸<)-3 昔のプリ小説へ? #いや、昔よりもいいプリ小説へ。 #未来のプリ小説へ。 #無断転載駄目絶対 (私が言えたことじゃないけど‥‥‥。) #変人同盟 #変人同盟(最強) #天才同盟 #天才同盟(仮) #天災 #くるみ会社 秘書(社員Aから昇格) #ずっと親友同盟 #大好きだよ Twitterはこれよ。    ↓ @cross_moon_drop ※不定期更新。 ※変人の極み。 ※“厨二病”爆発中。 ※発狂は常日頃。 ※時たま深夜テンション。 ※今日も貫くマイペース。 よろしくお願いします_(._.)_
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