『私ね、嘘、ついたの···』
藤「嘘?」
『うん、色が見えなくなった理由、』
藤「なんで、?」
『信用、してるけど、やっぱり怖くて···』
藤「そっか、。まだ怖いなら、無理にじゃなくてええよ」
『ううん、大丈夫、、』
✲
私は、いじめられていた。
それもけっこう悪質な。
さっきみたいな、「○○くんを取らないで」って。
「ほんと、自分の立場分かってる?」
「陰キャのくせに○○くんをとるなんて、マジ生意気」
そんなつもりなんか、さらさらなかった。
あっちが私に近づいてくるだけで。
私は、取ったりとか全くしていない。
「まじで目障りだから死んでくれない?」
「今ここから飛び降りてよ(笑)」
『え、···』
「なぁに?怖い?(笑)」
「なら私たちがやってあげるからっ(笑)」
『やっ、やだ···!』
4階の窓から身体を押し出された。
必死に抵抗したけど、5対1なんて、勝てる訳もなくて、。
私は呆気なく落ちてしまった。
私の記憶は、そこで途切れた。
目が覚めれば、そこはモノクロの世界だった。
母「○○?」
『ママ···、私···』
母「大丈夫よ、?」
『ごめんね、ママ···』
母「あなたは全く悪くないのよ?」
『うん、···』
母「転校、しよっか」
それでこの学校に転校してきた。
私を窓から突き落とした5人は退学処分されたらしい__。
✲
藤「······」
藤井くんは、唖然としている。
『ごめん、引くよね、(笑)』
藤「無理に笑わんでもええんやで?」
『え、?』
藤「辛かったんやな、怖かったんやな」
『っ···、』
藤「大丈夫。今度から俺が守ったるよ。だから肩の力抜き?」
『ふ、じいく···』
藤井くんの優しさは、やっぱり涙が溢れてしまう。
藤「なぁ○○?」
『ん、···なに、?』
藤「文化祭、7人でバンドやるんやけど、見にきてくれへん?」
『バンド···?』
藤「おん、自主企画イベントで」
藤井くんが見せてくれたのは、自主企画イベントのチラシだった。
そこには「バンドWEST」という文字の下に、7人の名前があった。
『すごい、!』
藤「んふふ。見にきてくれる?」
『もちろんだよ』
スッキリした私は、とびきりの笑顔を見せた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。