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第13話

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2019/11/14 11:25
あの日から1年が経ち



今日は彼女の命日。












あなたのことを考えながら


ふらっと庭に出た




ミツノリ
寒っ…







12月のこごえる寒さの中、



外は冷たい雨が降っていた






ミツノリ
雨か…








しばらく空を見上げてぼーっとしていると




遠くからほのかに光って

何かがこちらへ向かってくるのが見えた





ミツノリ
蛍…?







蛍だ。







ミツノリ
もう12月なのに…なんで…?








もしかして、もしかしたら



あなたなんじゃないのか?




ミツノリ
あなた…?






その蛍は近づいてきて



俺の前をフラフラと飛んでいる





ミツノリ
あなた…大好きだよ








何となく呼びかけると




蛍が強く光ったんだ









ミツノリ
わっ!









あまりの眩しさに


俺は目を閉じた




























































ミツノリ
…はっ





目を開けると


さっきまで降っていた氷雨が止んでいた






雲は消えて行き




数分のうちに

真っ青な空が広がった




ミツノリ
すごい…














蛍はまだ


俺の目の前で飛んでいる









本当にあなただったのかな?












きっとそうだ。
ミツノリ
大好きだよっ…





















『私も大好きだよ!』



























ミツノリ
あなたっ…?










気のせいかもしれないけど




あなたの声が聞こえたような気がした













懐かしくて


優しい声。










ミツノリ
っ…















その声を聞いて



自然と涙がこぼれた


















今更伝えられないと思ったけど




今なら届く気がするんだ












ミツノリ
ありがとうっ…














自分だけに聞こえるくらいの声で


そう呟いた






















蛍は高く上がって行き



空高く飛んで行った

























俺はその蛍を




見えなくなるまで見つめた























もしあなただったのなら



俺はまた



君に恋をした。

















* ❀。. ✿ * ❀ 。* .❀ 。 ✿ * ❀ 。 ✿ * ° 。 ❀ 。 ° ゚❀






終わり

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