「で?復讐してほしいって?」
「そうなの。してくれる?」
確かに、私の家族を奪った太田先生のことは憎い。
けど、でも、殺すなんてそんなことは……
「大丈夫よ。あなたが思ってるほど、悪いことではないわ。」
そうなの?
「ただ、ちゃんと真実を伝えて、罪を償ってほしいのよ。」
「罪って……」
「けど、法で裁けない。だから、私も今すごく悩んでるの。」
でも、それくらいなら私に出来ることがあれば少しでも協力したい。
「実はね、私、こっちの世界に出られる期間は一週間しかないの。」
「一週間?」
そんな……短すぎるよ。
「だからね?瑠海の力が必要なのよ。」
「うん。分かった。」
來海お姉ちゃんが居られるこの期間で何とかせねば。
「まずは、太田先生に事実を話さないと!」
「待って!話すのはあとから、先にやることを整理して考えましょ。」
「分かった。」
そうして、私とお姉ちゃんの復讐計画は始まった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!