「こちらです。」
俺はテーブルの上に全ての証拠写真を並べた。
「写真……ねぇ。」
「こんなの……有り得ないわ。合成よ!」
はあぁ!?
合成!?
こんな親がいるものなのか……
「先生、これどうやって撮られたんですか?」
やっぱり……聞かれるよな。
「すみません、隠しカメラを仕掛けさせていただきました。」
「隠しカメラ?それは学校の判断で?」
「いえ、自分が勝手に行ったことです。」
さすが桐島社長。
核心をついてくる。
「そんなこと……してよかったのですかね?」
「いえ……でも、苦しんでいる生徒がいるんです!僕は少しでもその子たちを救ってあげたいんです。」
お願いだ。
伝わってくれ。
「で?どうしろと?」
「私達もきちんと学校で当人を踏まえ話し合う予定ですが、ご家庭でもきちんと話してもらえないでしょうか?」
「……とりあえず、今日は帰ってくれませんか。麗華とまた話して連絡するので。」
桐島社長……少なくとも、この母親よりは話が通る。
「分かりました。ご連絡、お待ちしております。」
よかった……
桐島、本当のことを話してくれる……よな。
アイツは根は良い奴だ。
分かってくれるはず。
久堂、月城……もう少し頑張ってくれ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!