「私が中学に入学したばかりの頃。太田先生は私のことをいつも怒ってた。まあ、それは私が悪いのよ。授業態度とか提出物とか色々出してなかったから。
それから、入学して2ヶ月くらい経って、私のクラスでいじめが起きたの。」
いじめ?
「暴言吐いて、階段から落として。そんないじめだった。けどね、そのいじめをしていた人は私に罪を被せようとしたのか、私のノートをその現場に落として去っていったの。確かにそれは私のノートだった。でも、数ページが破られてて、残ってたページには恐らくその人がそのいじめを受けていた子の悪口を書いてたの。」
それって……
この少女のせいにさせるため?
「それで、太田先生は何も調べずにそのノートだけを見て、私を犯人だと言った。叱った。
あの先生は私に冤罪を被せたのよ?
それから、私は人とすれ違う度に、色々言われるようになった。
コソコソと悪口言われるようになった。
"あの人がいじめたのよ"ってね。」
それこそ、いじめじゃない。
「で、私は耐えきれなくなった。
お母さんもお父さんも信じてくれてたけど、学校には行きなさいって言われてたから毎日その学校で過ごすのが辛くて。
転校したいって思ったけど、お母さんもお父さんも仕事の関係で引っ越すことは出来なかったの。だから……私は自殺した。」
そんな……
どうして……
って、じゃあ何で今ここにいるの!?
「なんで今、私とこうやって話してるの!?」
「いわゆる……幽霊っていうやつかな。」
「ゆ、ゆ、幽霊!?」
幽霊なんていないって思ってた。
「だから、私が自殺したことを両親は悔やんで自殺した。」
「えっ……?」
「でもね、両親は妹を置いたまま逝ってしまったの。」
い、妹?
「それって……」
「そう、あなたよ。私ははあなたの姉よ。」
この少女は私の姉?
本当なの?
私には姉がいたの?
「名前は來海よ。」
來海……あなたがお姉ちゃん……
未だに信じられない。
「信じ難いわよね。ごめんなさい。」
「ううん……ちょっと整理するから。」
私の両親は交通事故ではなく、自殺だった。
そして、私の姉、來海も自殺した。
残されたまだ幼い私はおばあちゃんに引き取られた。
そういうこと?
「ごめんなさい、私が自殺なんてしなければ……」
「お姉ちゃんのせいじゃない。」
自然とお姉ちゃんと言う言葉が出てきた。
なぜだろう。
望んでたのかな、お姉ちゃんと話すこと。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。