第12話

#11
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2020/06/22 21:00

「ごめん、瑠海。私の姿は瑠海にしか見えないの。向こうの世界で一人私の姿が見えるようにする人を選ぶ、そのときに私は瑠海を選んだ。だから、おばあちゃんには見えないの。」


そんな……

「ほ、ほら、帰るわよ!」

「ばあちゃん、今ここにね、來海お姉ちゃんがいるの。」


「えっ?來海のこと、なんで瑠海が知ってるの?」



それから私は一生懸命説明した。



來海お姉ちゃんは幽霊としてこっちの世界へ来たこと。


來海お姉ちゃんは私に本当のことを教えてくれたこと。



でも、復讐のことは言わなかった。





何か言ってはいけないような感じがしたから。




「來海……來海がここにいるのね?

來海……ごめん、來海ごめんね。」



ばあちゃんは見えない來海に向かって謝り続けていた。


涙を流しながら。



「瑠海、ありがとう。この言葉、來海に伝わってるかしら?」


「伝わってるよ、來海聞こえたよ。」


「來海お姉ちゃん、聞こえたって。」


しっかりばあちゃんの声、來海お姉ちゃんに聞こえてるよ。




「そう……來海には本当に申し訳なかったわ。瑠海にも申し訳ない気持ちでいっぱいだけど。」

私にも?


そう思っていると、來海お姉ちゃんが少し悲しそうな顔をして


「ごめん、瑠海。私、一日にこっちへいれる時間が決まってるの。だから、もうこの辺で。」


と言った。


一日にいれる時間まで決まっているのか。

「わ、分かった!」

「また明日ね。」


「うん!」



また明日、ここで待ってるね。


來海お姉ちゃん。



そう心の中で呟いた。


「ばあちゃん、來海お姉ちゃん、こっちにいれる時間があって、もう帰っちゃった。」


「そうなの……不思議ねぇ…。」

「うん。」


そして、私とばあちゃんは家に帰った。

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