第2話

偶然
966
2021/02/14 01:06
____松坂さとう 中学時代____




さとうside


「あ......」



「ぇ.....、」



出会い始めは偶然だった。
深夜、私は男の家からの帰り道だった。





男について行ったのは、「愛を教えてあげるよ」とその人が言ってきたから。





結局その人はやりたい放題して、妻が帰ってくるって言って一方的に追い出されちゃったけど。





男の家から出てきた時は綺麗な星が見えていたけど、数分経つと曇ってきて、あっという間に雨が降ってきた。
 




おばさんの家を出た私には、いろんな男の人に助けてもらっていたので生活に困ってはいなかった。





でもこうやって追い出される事はあんまりなかったから、適当に歩いて雨を凌げるところを探していた。




そんなところをクラスメイトに見られてしまった。




雨の中、ずぶ濡れで歩いていた私に、彼は大きく目を見開いて、持っていた傘に私を入れた。







「....松坂さんだよね?同じ、クラスの。」




「......うん。」




「.....家、帰らないの?」




「....帰れなくなったから。」




「.....取り敢えず風邪引いちゃうし一旦行こっか。補導されちゃうとアレだし。僕も、...君も。」




別について行って何かあってもどうでもいい。
今は、雨に濡れないところに行きたかったから。






「......うん。」






だから、頷いてからの後ろをついて行った。

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