第4話

3days
196
2022/08/21 12:02
第8特殊消防隊を出たところで、久しぶりに夕方の
太陽に当たる感じと煩い人々の声で立ちくらみがした。
涙子 東
涙子 東
フラッ
足元がおぼつかないが、早くしないとあの人たちが追いかけてきてしまうかもしれない。
そうしたら私は…今度こそあの人たちの優しさから離れられなくなる。
時間はもう夜になってしまいそうだったが、急いで足を動かした
涙子 東
涙子 東
ハアッ…ハアッ…



細い路地に入ったところで、足がもつれ転んでしまった
涙子 東
涙子 東
……ッッ!
溜まっていた疲労に更に痛みが加わり、
もう足に力が入らない
涙子 東
涙子 東
…ポロッ
泣かないと決めていたのに
意思に反して、どんどん涙が溢れ落ちていく
涙子 東
涙子 東
………誰か…助けてよ…
ついに我慢していた言葉が口から零れた
???
???
ここにいたか、姫君
後ろから声がして、驚いて振り返った
そこには、私のことを姫君と呼ぶ、あの、
青年が立っていた
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
見つけたぞ
涙子 東
涙子 東
な、んで…
ここは大通りからは見えにくい、細い路地の中なのに
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
騎士の仕事は、姫を助けることだからな
綺麗な青い目が、まっすぐに私を映している
私を見つけ出してくれた、その美しい瞳に、彼に、
とても暖かい気持ちになった。
だけど…
涙子 東
涙子 東
なんで…追いかけて来たんですか…?
涙子 東
涙子 東
私の側にいると…あなたは……不幸になってしまう…
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
だが貴女に帰るところはあるのか?
言葉が詰まってしまう
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
不幸になろうとも、姫君を助け、守るのが騎士の使命だ。
涙子 東
涙子 東
私は…!助けられるような、守られるような人間ではないんです
人を傷つけてしまう私にはッ…
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
守る相手がどんな者でも、助けを求めている者には手を差し伸べるのが騎士だ。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
それに人のことを気遣っている貴方は、
十分優しい人間じゃないか
優しい言葉。
今まで触れたことのない、暖かい言葉。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
…立てるか?
目の前に差し出された手。
私は、この手をとってはいけない。
でも
一度だけでもいいから
優しくされる権利を
助けられる権利を
愛される、権利を
どうか下さい。











私は彼の手を取り、月明かりの逆光で一層際立つ
彼の蒼い目を見上げた。

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