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第10話

9days
170
2022/09/02 10:06
涙子 東
涙子 東
グスッ…あ、ありがとう、ございます。
大分、落ち着きました。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
フッ
初めて人の前で涙を流した
心にこびりついていた黒いものが剥がれ、とても
暖かい気分だった
涙子 東
涙子 東
…そういえば、他の皆様は?
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
ああ、書類まとめてるぞ
涙子 東
涙子 東
アーサーさんは、いいのですか?
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
俺は姫がまた暴走しないように見ておけと
マキに言われた。
涙子 東
涙子 東
そうなのですか…
迷惑、かけてばかりで申し訳無い
ちゃんと、能力は制御できるようにしないと。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
そういえば姫は第3世代なのか?
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
半分焔ビト化したようになっていたが。
涙子 東
涙子 東
私は…第2世代です
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
じゃあ何故発火していたんだ?
涙子 東
涙子 東
私は他の第2世代の人たちとは少し異なります。
他の方々は通常発生している炎を操るものですが私は人の中に在る炎を操ります。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
涙子 東
涙子 東
つまり…例えば怒ってみてください。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
?いきなり怒れと言われても怒れないぞ。
涙子 東
涙子 東
そのように感情の炎が弱い場合は
怒ることも泣くこともありません。
基本的に感情に起伏はない状態です。
涙子 東
涙子 東
今のは例ですが…そのように私は人の中に
在る炎を操作することで、一時的な感情や
身体能力を変化させることができます。
涙子 東
涙子 東
私が先日焔ビト化していたのは…命の炎を
無意識にとても強くしてしまっていたん
です。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
?…そうなのか……(?)
涙子 東
涙子 東
焔ビトは、命の炎が燃え尽きるまで激しく
燃え続けている状態です。
そのため身体能力が急激に向上し、自我も
なくなってしまいます。
涙子 東
涙子 東
命の炎が激しく燃える程…命は消費されていきます。
涙子 東
涙子 東
それはとても辛くて……自身が死ぬことへの
恐怖と虚しさだけが自我がなくても心に
渦巻く…
そう……彼らは苦しんでいる
なのになんで…
涙子 東
涙子 東
…ッ私は……人を焔ビトにすることが可能
です。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
!!
涙子 東
涙子 東
こんな………
涙子 東
涙子 東
こんな要らない力…私なんて存在しなければいいのに…
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
……姫君は優しいんだな
涙子 東
涙子 東
…え?
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
人の為を想って、様々なことを我慢して
きたのだろう。
アーサー・ボイル
アーサー・ボイル
だから要らない存在なんかではない。
涙子 東
涙子 東
…ありがとうございますッ
アーサーさんは、とても優しい。
青い澄んだ眼が、こちらを真っ直ぐに見ている
私はその澄んだ目を直視できずに、少し下を向いた。

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