天使さんが指さした先には大きな扉があった。
扉の奥は眩しいくらいに光っていて、何も見えなかった。
本当は行きたくなんてない。でも、これからの為に、幸せになるために。私は覚悟を決めて扉の奥へ進んだ。
扉に入って直ぐ、現実の世界についた。
私は普通に歩いているのに、人々は私の体をすり抜けて歩いていく。なんだか変な気分だ。
私は天使さんと悪魔に連れられ、私のお葬式会場にむかった。
......どうせ誰もいないんだろうな。なんてことを考えながら。
予想外に大きな会場だった。
私の為に来てくれる人なんていないだろうし、もっと小さいと思っていたのに。
中に入ると、おばさん同士が「まだ若かったのに......」 「可哀想よね、虐められていたんでしょ?」 などとコソコソ話しているのが聞こえてくる。
ちょっとイラッとした。人のお葬式だよ?コソコソ話したりしないでよ。
天使さんとは気が合いそうだな。
私は1人1人の顔を見ながら、知っている人を探した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。