お葬式には意外と沢山の人が来ていた。
学校の先生。親戚のおじさん、おばさん。まだ小さな従姉妹やおじいちゃんとおばあちゃん_____
来て欲しかった人。それはたった1人の親友__
いや、親友だった人、紗彩だ。
紗彩は私のことで喧嘩別れしてしまって、仲直りせずに私は死んだ。
1つ悔いがあるとすればそれかな。もう一度、仲良くしたかった。
悪魔は1人の子を指さしながら言う。
その子は肩を震わせ、泣いていた。
私はそっとその子に近ずいて、顔を見てみた。その子は_____
紗彩だった。
名前を呼んだって聞こえるはずが無い。世界が違うのだから。それでも呼ばずにはいられなかった。もっともっと呼んでいたかった、愛しい程大好きな名前......
顔を見て少しすると、紗彩が何か言っていることに気がついた。何を言っているんだろう?よく聞いてみると_____
泣きじゃくりながら、私に謝っていた。
この思いは。この声は届かない。
こんなにもどかしい事があるものか。愛しい人に、思いを伝えたかった。
最後に一言、「ありがとう」と言いたかった_____
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。