無理にでも元気を出したくて、丁寧な挨拶を試みたけど、
出てきた声は、無情にも
酷く掠れた声だった。
私はゆんちゃんの返事にほっとしながら
既に用意されたトーストをかじった。
味はしないが、ゆんちゃんが作ったのだから
きっと美味しいのだろう。
不器用な彼なりの、私への励まし。
凄く嬉しいが、明るく笑顔で返事を返すことはできない。
ゆんちゃん何も悪くないのに。
ごめんね。
寝るなんて嘘。怖くて開けられなかった手紙を
見るんだ。
どうか涙が零れませんように。
どうか、
笑顔で手紙を読み終わってますように____________
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!