喉が乾いた私は階段をおりてキッチンへむかった。
アイクside
そう言って俺は階段をおりた。
本を読み始めて数分がたったころ…。
タッタッタッ…。
階段の方から音がした。誰だろう。
そう言って彼女はキッチンの方へ行ってしまった。
静まりかえったリビングには、
俺が本のページをめくる音だけが響いていた。
あなたside
思わず声を出してしまった。
読書の邪魔、しちゃったかな…?
でも、このまま何も言わずに
通り過ぎるのも変だよね…。
あ、そっか。私もそう思われるよね。
そう言うと、私の足は勝手に歩き出していた。
私は一気にのどに水を流しこんだ。
誰もいないキッチンに、
私の心臓の音だけが響いているかのように感じた。
そう思うよりも先に、
体はアイクさんのもとへむかっていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!