手を広げた母親に飛び込む、そして抱きしめられた
転生して5年たち俺はもう5歳
あの恥ずかしくて毎日死にそうな日々は終わり今は大好きな母様と父様との遊びの時間だった
父様には他の奥様もいるし仕事があるのでなかなか会えないがそれでもちょくちょくこちらに来てくれるので嬉しかった
子供のフリをするのは大変だが、いきなり子供らしからぬ発言をして軽蔑されるのは避けたかったのでずっと純粋な子供を演じている
それと、この5年でわかったことがある
それは俺がいる立ち位置は非常にめんどくさいということだ
どこかで聞いたことのある名前かと思えばよく妹がしていたゲーム「ツイステッドワンダーランド」に登場するキャラの1人だった
そして熱砂の国でかなりの商家でありそこの長男
なので誘拐、毒を盛られるのは日常茶飯事
しかも弟、妹に殺されかけたこともある
極めつけに本来の性格が無自覚傲慢、能天気、人柄はいいがいつも従者を困らせる天然
それに対し俺は真反対の性格
原作を変えないためにはカリムという真反対の存在を演じなければならない
実にめんどくさい
殺されかけたり誘拐されたりすることよりも俺の場合自分を偽ることの方がストレスが溜まる
それが何年も続くのか……
これから起こるであろうストレスの連鎖に思わず心の中でため息を吐いた
ジャミル……ああ、あの黒髪の苦労人か
無邪気に喜ぶ(演技)俺の姿を見て両親は顔をほころばせた
そして後ろに控えているメイドの方はカメラを手にこちらを連射している←
はずいからやめてメイドさん
多分カリムならこう答えるよな
そう笑顔でかえすと2人はほころんでいる顔をさらにほころばせ本当に幸せそうな顔をする
その姿を見てほほえましく思いつつも、思わず心の中でため息を吐いた
こういう親の過度な甘さが子供をどんどん ダメにしてくんだよな…
厳しいよりは優しいのはいいのだろうけどちょっとこの人達は甘すぎな気がする、すごく嬉しくはあるが
…というかごめんなジャミル
明日からお前の自由消し飛んじまったわ←お前のせい
せめてお前にかかるストレスは減るように努力するから許してくれ
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!