第4話

偽善者が4人
7,206
2021/03/03 22:03
今日はパーティーに呼ばれ、広いお屋敷に来ていた

もちろんこのパーティーには偉い人達、この国の王族やアジーム家と同じような商家、他の国の貿易商人などさまざまな人達が招待されている

なので熱砂の国でも有力な商家「アジーム家」

つまり俺たち家族の周りには関係を持ち取引をしたい商人、期限をとり優位に貿易を行おうと目論んでいる黒い考えをするヤツらが群がっていた

特に俺は幼くて扱いやすいとでも思ったのだろう
俺の周りにほとんどの悪どい奴らは集まっていた
偉い奴
はじめまして、私は____
偉い奴
_____と申します
この度は会えて光栄ですわ
偉い奴
あなたがカリム様ですか?僕は______。ぜひお友達になりたいです
こいつらの目全員アウトなやつしかいないわ

絶対俺と関係をもって将来アジーム家を操ろうやらなんやら考えてんな

その度胸だけは褒めてやる


…あー、そうだ
フリをしないといけないから返事しないと
カリム
そうなのか?じゃあ俺と…
ジャミル・バイパー
カリム
隣に控えていたジャミルが俺に耳打ちをしてくる

俺は言葉を噤んだ
ジャミル・バイパー
そんな疑いもせず友人を作るなとお父上から言われているだろう、もう忘れたのか?
カリム
アハハ、悪い悪い
カリム
ごめんな、父様からあんま友達作るなって言われてんだよ
偉い奴
……そうですか。残念です
あいつ邪魔を……
その青年は俺に別れの挨拶をしたあと、ジャミルを人に分からないよう(俺にはバレた)キッと人睨みし、人混みへと消えていった

他の奴らもジャミルが隣から離れないのを見て無理だと思ったのか、1人、2人と離れていく

そして俺とジャミル、2人だけが残った
カリム
お、全員いなくなったな
やっと消えた……相手してたら小腹がすいたな
カリム
なあジャミル、料理取りに行こうぜ
ジャミル・バイパー
ああ、わかった


(料理スペース
カリム
おお!どれも美味そうだな!
ニコニコと満面の笑み(嘘)を浮かべ、まるで宝石がちりばめられたようにキラキラして見える料理を見る
ジャミル・バイパー
そうだな、だが直ぐに食べるなよカリム
カリム
分かってるって
近くにいた両親は微笑ましく俺らの様子を見ていたが、実際のところそんな子供じみたことではない

バレないよう自分で毒の鑑定を魔法で行っていたのだ

こういうビュッフェ式のパーティーでは狙う対象に毒を盛れる確率は低くなるが、誰がやったのかが突き止めにくい。そのため、毒を盛るバカも少なくなかった


ああ…あれもダメ…これもダメ…それもダメ
ここ毒しかないのかよ

お偉いさんの大量虐殺でも考えてるやつがいんのか?
まあ、俺には関係ないが

1人呑気に考えながら毒が入っていない安全な料理のどれを食べようか悩む
カリム
………これにする!
ジャミル・バイパー
このカレーか
毒味用のスプーンを懐から取りだし、パクッとひとくち食べる

するとそれまで無表情だったジャミルの顔に歓喜が現れる、相当美味しいようだ

その様子を見て「ジャミルは相当頭がいいがやっぱりまだ子供なんだな」と親目線の視線を送っていた
ジャミル・バイパー
舌に痺れ等は感じられない、刺激臭もしない…毒は入っていないみたいだな
ジャミル・バイパー
食べていいぞ
カリム
サンキュージャミル!
渡された料理を見てまた「美味しそう!」とつぶやき、ひとくち口に入れる
すると口にスパイスのこうばしい香りが広がり、しっかりと煮込まれた肉は下で簡単にほぐれてしまった


これマジで美味しい…
こんな美味いカレー食べたの久しぶりだな

さすが本場といったところか
カリム
美味しい!
カリム
ジャミルももうひとくち食うか?
ジャミル・バイパー
いい、なにより俺はお前の従者だ
もらうことなどできない
視線は完全にカレーの方へと向いているが、頭がいい故に自分の立場を弁えているのでもらおうとしない

どうやったら食うか………ああ、あれをすれば簡単か
カリム
……俺もうお腹空いてないからこれジャミルが食べてくれよ!
どうせお前にはこれが演技だといことはお見通しだろうが、これ(命令)やればお前も断れないだろ?
ジャミル・バイパー
演技下手か……………まあもらっておく
俺が差し出した皿を素直に受け取って、ひとくち、またひとくちとカレーを頬張る

そんな食べたいんだったら子供らしく我慢しないで食べればいいのに

親目線をまた送りつつそう考える
そして心の中でとてもほっとしていた

それは

本人は気づいていないかもしれないが徐々に顔は幸せそうに緩んでいっていたから

そうして時間が過ぎていった


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