今日はパーティーに呼ばれ、広いお屋敷に来ていた
もちろんこのパーティーには偉い人達、この国の王族やアジーム家と同じような商家、他の国の貿易商人などさまざまな人達が招待されている
なので熱砂の国でも有力な商家「アジーム家」
つまり俺たち家族の周りには関係を持ち取引をしたい商人、期限をとり優位に貿易を行おうと目論んでいる黒い考えをするヤツらが群がっていた
特に俺は幼くて扱いやすいとでも思ったのだろう
俺の周りにほとんどの悪どい奴らは集まっていた
こいつらの目全員アウトなやつしかいないわ
絶対俺と関係をもって将来アジーム家を操ろうやらなんやら考えてんな
その度胸だけは褒めてやる
…あー、そうだ
フリをしないといけないから返事しないと
隣に控えていたジャミルが俺に耳打ちをしてくる
俺は言葉を噤んだ
その青年は俺に別れの挨拶をしたあと、ジャミルを人に分からないよう(俺にはバレた)キッと人睨みし、人混みへと消えていった
他の奴らもジャミルが隣から離れないのを見て無理だと思ったのか、1人、2人と離れていく
そして俺とジャミル、2人だけが残った
やっと消えた……相手してたら小腹がすいたな
(料理スペース
ニコニコと満面の笑み(嘘)を浮かべ、まるで宝石がちりばめられたようにキラキラして見える料理を見る
近くにいた両親は微笑ましく俺らの様子を見ていたが、実際のところそんな子供じみたことではない
バレないよう自分で毒の鑑定を魔法で行っていたのだ
こういうビュッフェ式のパーティーでは狙う対象に毒を盛れる確率は低くなるが、誰がやったのかが突き止めにくい。そのため、毒を盛るバカも少なくなかった
ああ…あれもダメ…これもダメ…それもダメ
ここ毒しかないのかよ
お偉いさんの大量虐殺でも考えてるやつがいんのか?
まあ、俺には関係ないが
1人呑気に考えながら毒が入っていない安全な料理のどれを食べようか悩む
毒味用のスプーンを懐から取りだし、パクッとひとくち食べる
するとそれまで無表情だったジャミルの顔に歓喜が現れる、相当美味しいようだ
その様子を見て「ジャミルは相当頭がいいがやっぱりまだ子供なんだな」と親目線の視線を送っていた
渡された料理を見てまた「美味しそう!」とつぶやき、ひとくち口に入れる
すると口にスパイスのこうばしい香りが広がり、しっかりと煮込まれた肉は下で簡単にほぐれてしまった
これマジで美味しい…
こんな美味いカレー食べたの久しぶりだな
さすが本場といったところか
視線は完全にカレーの方へと向いているが、頭がいい故に自分の立場を弁えているのでもらおうとしない
どうやったら食うか………ああ、あれをすれば簡単か
どうせお前にはこれが演技だといことはお見通しだろうが、これ(命令)やればお前も断れないだろ?
俺が差し出した皿を素直に受け取って、ひとくち、またひとくちとカレーを頬張る
そんな食べたいんだったら子供らしく我慢しないで食べればいいのに
親目線をまた送りつつそう考える
そして心の中でとてもほっとしていた
それは
本人は気づいていないかもしれないが徐々に顔は幸せそうに緩んでいっていたから
そうして時間が過ぎていった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!