第15話

空色の家、星の降る夜
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2020/08/31 14:16


「あれが私の家だよ。中汚いけどごめんね」

「おぉ」


先輩の家は薄い青空みたいな色で、

庭には、水仙すいせん勿忘草わすれなぐさなどがたくさん咲いていて

手入れを欠かしてないんだろうな。と、

一目で分かる。



「凄い綺麗ですよ!」

「そうかな?最近あんまり手入れしてないから」

「これでしてないんですか?!」




「中入ろ?庭は後で見ようよ」

「は、はい!」

先輩はいつの間にか、玄関を開けて私を

まっていた。



「お邪魔します、」



先輩は前に将来したい事があるから

一人暮らしをしている。

と言っていたが。




先輩は汚いから嫌だなー、など言っていたけど

玄関には花が飾ってあり綺麗でお洒落だった。


「きれいじゃないですか!!」

思わず素直な言葉が出る。

私の部屋の方が汚い。

何だか知らないが負けたような気持ちになった。





「じゃあ好きな所に座ってていいよ、

私お茶いれてくるから」



リビングに案内して先輩は台所に消えて行き

台所で作業する先輩の姿を想像すると

妙に新鮮な感じがした。





「先輩ありがとうございます、、う~ん」

お礼を言って座ろうと思い部屋を見渡すが

何処に座っていいのか迷ってしまう。

 
そしてこれは私の考えだが、座った場所に

よってその人の性格が分かる。




堂々した人、遠慮がちの人、駄目な人。


私は結局先輩がお茶を持ってきてくれるまで

座れなかった。 私は駄目な人だ。



違うんだ、誰かが言う。

私は駄目じゃない。


本当かな?自問自答しても答えはない。










それから6時まで私は先輩と色々な事をして

過ごした。

特にゲームが一番面白かった。 

初めて触るから操作の仕方が分からず

まごついていると先輩がその度に説明してくれる。



  
「あぁ~もう6時かぁ、早いね」

ゲーム機を置き、先輩は床に大の字に

なったから、はいていたスカートが

少し捲れドキッとする。







「...今日泊まる?」

いきなり先輩は起き上がり言った。



「で、でも迷惑じゃないんですか?」

「迷惑なんかじゃないよ!結愛はすぐ遠慮

するんだから」



「着替えとか色々持って来てないし...」


遠慮するのとすぐに謝ってしまうのが

私の癖だと前、瑞木ちゃんに言われた事を

思い出す。

「大丈夫、私のがあるから」

先輩はにっこりと笑った。











「はい、これパジャマだよ。大きい?」

「大丈夫です。ありがとうございます」



ご飯とお風呂が終わると先輩は、

クローゼットから黒いパジャマを取り出した。

よくみると真ん中に黒猫の絵が入っていて、

可愛くて私のパジャマとは全然違う。

私のは、サイズがきつくなったもの。



良いな。


「こんなの、着るんですね!」

「着るよ?可愛いしさ」

「ベット隣入るでしょ?」

「邪魔じゃなければ」



「..ん」

先輩は先に入り私を手招きする。



「お邪魔しますね」

そっと先輩の隣に寝ると、髪から

良い匂いがしてくる。



「えい!」

先輩は自分の足と私の足を絡ませてくる。

「ちょっ、やめてくださいよ」


先輩の足はさらさらしていて、

ずっと触られていたくなってしまう。





「いいじゃん。...

結愛は最近死のうと考えてた?」




急に声のトーンが落ちた。






「そんな事ありませんよ、、」



「ならいいんだよ?結愛が死んだら嫌だな」

「嬉しいです」






「おやすみなさい」

私はもうあまり先輩と会話をしたくなくなった。

バレてしまう。からかもしれない。





「...うん」


先輩の声は落ち着いていた。









 



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