第3話

春の匂い
418
2020/07/27 08:03




一通ひととおりお店を見て回り店内のベンチに座って

お喋りをひとしきり楽しんで、

お店を出たのは、四時ぐらいだった。








「案外、何度行ってても楽しいですね」



素直に先輩といるとあっという間だった。と

言えばいいのに変なところで素直になれない。

それが私の弱い箇所かしょだ。



 



結愛ゆいがいるから凄く楽しいよ」

どんどん歩いていく先輩を見ながら

少し不思議な気持ちになった。



先輩には絶対に追い付けない。

私がいくら大人ぶっても子供だから。








「...いつもありがとうございます」






小さく呟く。

すると先輩が急に振り返って笑ってみせた。



聞こえてしまったのかも、まぁいいか。






私は顔の温度を上がるのを感じながら

先輩に向かって走り出した。










もうすぐ春が来る。






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