降谷は明日にはまた戻らなければ行けないらしく、今夜は私と飲みに行くことになった。
俺は仕事が終わったら行くよ。
そう告げた降谷はいつもの場所に行っててといい、仕事に戻った。いつもの、警察学校時代に彼らと行った学校近くの駅前の居酒屋。かれこれ集まることもなく、約1年半。
案の定机の上を見てうわという顔をしていた降谷。大量に置いてある書類と。多少は私も手をつけてあげていたものの1人では到底終わりそうもなかった。果たしてこれは終わるのだろうか。
「終わらせるよ。飲みに行きたいからな」
声に、出ていたらしい。
一足先に終わった私はいつもの、と言われた居酒屋の個室で彼を待った。夕方6時半。待つこと1時間。
『もう来たの』
「殆ど上司の計らいだよ。たまには飲みに行ったらどうだ、って」
『あの人意外と良いところあるのね、好きだわ』
「……ふうん、そうか」
『……なに?』
「なんでもない。何頼む?」
少し複雑な顔をした降谷に違和感を覚えるとすぐに注文を始めた。
幾らか時間が経っただろうか、降谷の頬がほんのり赤くなっていた。こいつは酒に弱い。昔からこうで、その度に私がいつも介抱した。
がやがやと騒がしい隣の個室
急にガラッと、音がすれば私たちの部屋に美人な女の人が、立っていた
【ああ、この小さな胸騒ぎは】
【なんなのだろう】
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。