ジェルside
今は23:55
なんとなく、鏡を見てみる
先程見た幽霊についての番組
俺は幽霊は信じないが、
24時になったら、
彼が鏡の前に立っているんじゃないか、
そう考えてしまう
いるわけないよな、そう思い
スマホをいじる
でも、諦めきれなくて、
24時になった瞬間、鏡を見た
俺は目を疑った
なぜなら、そこに
るぅとが立っていたから
俺が呟くと、るぅとが目を見開いた
変わらない姿、声
泣きそうな声
俺は抱きしめたくて、手を伸ばす
すると、るぅとは少し後退り言った
俺はるぅとを抱きしめ、言った
俺はそう言う
その言葉だけで、十分な気がした
俺に抱きしめられ、るぅとは驚いていた
でも、すぐに蜂蜜色の瞳から涙が頬を伝った
俺とるぅとは一緒に、泣いた
少しして、俺たちはお互いに、
瞳が濡れ、ぐちゃぐちゃの顔を見て、笑った
それと同時に、俺は消えそうなるぅとの身体を見る
るぅともそれに気づき、俺を見て、言った
短いけど、1つ1つに気持ちがこもっていた
そう言い、触れるだけの優しいキスをした
前のるぅとなら、恥ずかしがって絶対にしなかったこと
俺は嬉しくて
そう言い、キスを返した
るぅとが消える
会えるかわからない、けどいつか会える気がした
だから、そう言った
俺はるぅとに笑いかける
すると、るぅとが消える瞬間に俺を呼んだ
るぅとが消えた
ああいうとこが好きなんだよな
今まだいるなら、照れて顔真っ赤だろうな、と
彼の反応を想像し、頬が緩む
気づけばもう、1時になろうとしていた
俺はまだ彼の匂いが残る服を着替え、
ベッドに入り目を閉じた
俺は鏡を見た
数時間前は暗く酷い顔だったが、
今は、自分でも驚くぐらい笑顔だ
おやすみ、るぅと
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。