どうしよう...お兄ちゃんなんか変な事言ってない、よね?
いや、それよりも...
目の前で本を読んでいる親友に声をかける
そう、それでまふと喋ることが出来なくなったのだ
なのに絢香は私を教室に連れてきた挙句
自分の教室に行って本を取ってきて読み始めた
いつも通りの適当な答え
もう慣れてしまった
文句を言うのは諦めて尋ねる
呆けたような声で返事をしてこちらを見た
「何を言ってるんだ」そういう顔で
絢香の手の中に握られている本を指さす
ブックカバーを外してこちらに表紙を見せる
その態度に呆れて声も出なかった
よくよく考えれば絢香が真面目に本なんて読むはずなんてなかった
ブックカバー付けてるだけマシかも
96ちゃんが絢香の肩に飛んできた
あ、「跳んできた」か
まあ、いいや
本当は「大丈夫」なんて話じゃなかったけど
心配は掛けたくないから
96ちゃんの笑顔はいつも私を安心させてくれる
いつしか私もそんな風に
笑っていたいって思った
...96ちゃん、それはテキトーすぎるよ...
まあ、あんまり大事なことでもないだろうからいいけどさ...
って、めっちゃ重要なやつじゃん!!!!
うん、そのままだね
...は?
いや、え?
1番!嫌な!やつ!!!!
おかしい、絶対におかしい
美奈!うん、美奈ならこれが嘘だって、冗談だって言ってくれるはず!
見捨てられたっ.....!
お兄ちゃんのも解決してないのに...
問題は山ずみらしい
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。