あれ、俺、耳悪くなったのかな
え、え、マジで?
あ、あー...、そうか、そうだったんだ
まふさんのことが、好きだったのか...
ほら、彩ちゃん心配してるし
なんにもないような顔しないと
実際、俺と絢香には何にもないんだし
早く連れていかないと、そうだろ、俺
足が動かない、動きたくない...
断るとしてもだよ、
ほら、心配かけてる
動け、いけるだろ
全然聞こえなかったんだけど...
てか、聞いてなかった...
え、絢香怒ってるし
いや、いつ出たらいい、これ
彩ちゃんをどうにか...
あれ、やば
彩ちゃんどこ行った?
いや、走っていってるー!
いやいやいや、今出るのはマズイでしょ
そう思っても、すぐに追いつける距離にはいなくて
気付けば、
彩ちゃんが絢香に抱きついていた
_________
まふまふside
えーと、これどういう状況?
今、神崎さんなんて言った?
僕のことが好き?
そんな訳無いだろ
いや、絶対これ僕のこと好きじゃないでしょ
目泳いでるよ
あるはず、だって神崎さんは
関わりの少ない僕でも知ってる
神崎さんは100%天ちゃんが好き
だって神崎さん、あなたのことも大好きじゃん
自惚れ、かもだけど
あなたはきっと、僕と別れたら、泣く、と思う
どうやって理由を聞こうかな...
その時だった
なーんか、見覚えのある子供が...
神崎さんの妹、
天ちゃんはあれでも責任感が強いはず...
嫌な想像が頭に浮かぶ
そういうのってよく当たるもので
頭を押さえながら立ち尽くしている天ちゃんがいた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。