あの後はグクを連れてケーキ屋をまた巡り、
疲れてひと休みしようと広い花畑にやってきた
そこの真ん中辺りで二人寝転ぶ
拗ねながらも近くにある花を見ていれば
頬に柔らかいものがあたる
パッと横を向けばグクが悪戯に笑っていた
なんてブーブー文句を言っていれば、頬に冷たいものがあたる
ふと上を見上げてみれば、灰色の雲がもくもくと出てきて雨を降らし始めた
拗ねる私を強引に立たせると、濡れないようにグクのコートを頭の上に被せる
グクも中に入ると耳元で甘く囁いた
クスクスと隣で笑いながら走るグク
本当にズルい……そんなグクだから堕ちちゃうんだ
あの日、グクが夢に出てくれなかったらこんな幸せな生活はなかった
グクとは合わないことが多いけれど、でもグクの側にいるだけで凄く幸せなんだ
ありがとう、私の側にいてくれて
貴方が世界で一番大好きです____________________
『 ドS悪魔の花嫁になった件 』END.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。