第291話

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1,992
2022/12/17 07:19






















あの後はグクと一緒に病院を出て家路を歩いた


























けど、まだ頭の中をあの時の記憶がぐるぐる渦巻く























不安と恐怖で自然とおぼつかない足取りになる





















そんな私を見たグクは私の目の前で背を向けて屈んだ



















(なまえ)
あなた
え………?
グク
グク
乗って
(なまえ)
あなた
いや、でも…
グク
グク
いいから
(なまえ)
あなた
っ…………




















仕方なくおぶられることにした




















大好きな甘い匂いに包まれたかったし……




















グク
グク
これからしばらくケーキ屋行くの禁止ね
(なまえ)
あなた
え………
グク
グク
最近茶色い封筒使う店増えてきてるし
(なまえ)
あなた
っ…………
グク
グク
また急に倒れられたら困る
(なまえ)
あなた
ごめん……


















目が覚めた時に見たグクの表情が蘇る





















見たことがないぐらい、辛そうで………





















グクに迷惑はかけたくないから



















グク
グク
謝るなら行くな
食べたいなら買ってきてやるから
(なまえ)
あなた
っ……うん





















多分、焦げ茶みたいな色の封筒なら大丈夫





















けど……よく輸送とかするようなあの薄い茶色の封筒だけはダメ





















グクはだいぶケーキへの恐怖心なくなったらしいけど




















グク
グク
今日の夜ご飯何がいい?
(なまえ)
あなた
え、?
グク
グク
あなたの好きな物作る
(なまえ)
あなた
っ、!


















何の変哲もない会話なのかもしれない



















けど今は……グクの優しさが溢れてる会話だった




















未だにフラバが離れない私から不安をなくそうとしてくれてる





















いつも通りの日常だよって、遠回しに言ってくれてる




















そんなグクに感謝でいっぱいになって……





















それと同時に申し訳なくもなった




















また溢れてきた涙がバレないように拭って



















グクを思い切り抱き締める



















グク
グク
っ、!
(なまえ)
あなた
ありがとう…っ
グク
グク
また泣いてんのかよ…まったく…

















呆れた溜め息をつきながらも、




















グクはどこか楽しそうに笑って言った



















グク
グク
今日、何の日かわかる?ㅎ
(なまえ)
あなた
え……?
グク
グク
俺があなたに恋した日
(なまえ)
あなた
っ、!!
グク
グク
ただの初恋デーだけど、
俺の人生を明るくしてくれたあなたの為に久々に頑張ろっかなㅎ




















また、頬に涙が伝った





















本当に…グクって人は私の心を掴んで離さない




















そんなこと言われたら、嘘でももっと好きになる























グク
グク
帰ったらめちゃくちゃキスするから覚悟しとけよ
(なまえ)
あなた
うん、っ……しとく
グク
グク
今日やけに素直じゃんㅎ























夕暮れの空に、幸せの声色が溶けていった























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