_______________カチカチカチ、ッ
今日もまた後ろでカッターナイフの音がする
そして私以外の誰かの足音も
足早になれば相手も足早になる
ふと止まれば相手も止まる
今日はストーカーが誰なのか確かめている
電話を切ってすぐにまた足早に歩く
するとやはり後ろもそれに着いてくる
ただただ怖くて…恐怖で息が出来ないぐらいだった
グクを見つけるなり、すぐグクの胸の中へ
優しく包み込んでもらうと恐怖が薄まる
跡を着けていた男は重くため息を漏らす
何となく…私達に敵意がないことを悟る
面倒臭そうに口を開いたことからも
やっぱりそうだ、敵意はない
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!