グクside
ガチャッと音を立てて扉が開く
扉を開けるなり、フワリと鼻を掠めた俺好みの匂い
何だかいつもより部屋が寂しい気がした
ふと辺りを見回せば服が少ししかなかった
昨日、俺に言われて服を持って出て行ったのだろう
しばらく部屋の中心に座っていた
そんな時、壁紙が少し歪んでいる場所を見つけた
ベッドの柱のすぐ横にある壁紙
直そうとそこに触れた瞬間だった
ハラリと壁紙が落ちて、小さな箱が露わになった
取り出して開けてみれば、
大量の茶色い封筒がしまわれていた
それに熱がスーッと引いていく
今にも溢れかえりそうなぐらいの多さ
でも、どうせ半分ぐらいは使ってるんだろう
そう思いつつも戻そうとした時、
ゴミ箱につまづいて箱を落としてしまった
途端に箱の中身が全て床に散らばる
それと同時に大量のコインの音がした
コインの音に驚いたと同時にゴミ箱の中身に目を見開いた
そこには昨日俺が投げ捨てた少しくちゃくちゃになった茶色い封筒があったから
幾ら申し訳なくなったからってお金を捨てるか?
普通どこかに仕舞い込むとかじゃないのか?
俺はもう……あなたがわからない
グクside end.
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。