長い時間そのまま突っ立っていた気がする
ふと鏡を見ればメイクは崩れ、酷い顔をしていた
取り敢えずこのままでは会場に戻れない
だから顔を洗い、また一から化粧をし直す
ハンカチで濡れた髪を拭きながらまた鏡を見る
確かに私は化粧をしても魅力さえ感じない
何も……変わることなんて出来ない
よっぽどあの人の方が魅力があって綺麗だった
グクは何で私を…?魅力のない私に惹かれたの?
あの人は多分悪魔だと思うけど……
悪魔も悪魔同士で結婚出来るらしいからな
もちろんそれは天使達も
でもいくらお姉さんとの約束とは言え、
惹かれる要素のない私を花嫁にすることなかったのに
突然スヘンがお手洗いに駆け込んできた
本当は戻りたくなかったけど、戻らないとだな
変な心配はかけたくないし
そう思い、渋々会場へと戻った
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!