第6話

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2019/03/11 00:42
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
まさか、そんな。だって
桜子
部活繋がりで知り合った、先輩なんだけど
言わないで
桜子
凄く、いい人で、優しくて
聞きたくない
やめて
桜子
凄く、すき…なんだ
いやだ
桜子
……そんなに、驚いた…?
彼女がオレンジの顔で、僕の顔をのぞき込む。まって、やめろ、そんな顔されたら…
…っ、あぁ。彼氏いない=年齢のお前がね。………よかった、じゃん。もう、僕と帰るんじゃないぞ
心など何もこもって無い、祝福の言葉を無理やり捻り出す。
…ここで、彼女を困らせたくない。ダメだ。それに、それこそ。関係を崩してしまうではないか。
桜子
ひっどいなぁ。一緒に帰るくらいはいいじゃん!!………1番に、言いたかったんだ。幼馴染だしね。…昨日言いたかったのに、帰ってるって言われちゃったからさ。今日、探してよかったあ。
安心したような顔で、いつもの桜子に戻る。
だから、僕を探していたのか。
あぁ、ただの、僕の、勘違い。
恥ずかしさと、悔しさと、悲しさでどうしようもならないこの感情はどうしたら良いのだろう。

僕は、笑顔で好きな人を語ってくる桜子に、出会って始めて、怒りを覚えた。

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