一瞬、何を言われたのか分からなかった。
まさか、そんな。だって
言わないで
聞きたくない
やめて
いやだ
彼女がオレンジの顔で、僕の顔をのぞき込む。まって、やめろ、そんな顔されたら…
心など何もこもって無い、祝福の言葉を無理やり捻り出す。
…ここで、彼女を困らせたくない。ダメだ。それに、それこそ。関係を崩してしまうではないか。
安心したような顔で、いつもの桜子に戻る。
だから、僕を探していたのか。
あぁ、ただの、僕の、勘違い。
恥ずかしさと、悔しさと、悲しさでどうしようもならないこの感情はどうしたら良いのだろう。
僕は、笑顔で好きな人を語ってくる桜子に、出会って始めて、怒りを覚えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。