第6話

〜 5輪目 。
2,346
2020/06/11 09:00






ジェノと別れてから

電車に乗り、昨日の場所まで向かう。




ふと時計を確認すればもう3時半近く。




お昼を食べた時間が遅かったな ....... 。







今日が何月何日で何曜日なのかも一応確認する 。



毎日仕事してると曜日感覚なくなってくる .......



土曜 、 か .......





はっ、明日休みじゃん !!!


こんないい事あります ?!





ここ3日間歩き続けたから

休みが神からのめぐみのように感じる 。





まぁ 、 いい 。


とりあえずは目の前にある

難関をクリアしなくては ....... 。





電車が目的の駅に止まる 。




電車から降りて改札を通り 、

迷いなく昨日の花屋まで足を進める 。








その花屋について外見をもう一度しっかり 、

明るい時間帯に見れば分かるのは 、


小人のお家のように可愛らしいお店で

尚且つオシャレだということ 。





素敵だな ....... 。







そう感激しているとハッとする 。


こんなことしている場合ではなかった 。




善は急げ 、当たって砕けろ 。




砕けては欲しくないけど .......






チャリン 、と鈴の音を鳴らしてお店の扉を開ける 。








「 いらっしゃいませ ....... って 、昨日の ....... ? 」



『 ぁ、はい!そうです! 』



「 わざわざありがとうございます 。 」



『 い、いえ ! 』



「 お話があるんでしたよね 。 こちらに 、 どうぞ 」





そう言ってその店員さんは奥の方を指しながら

お店の看板をCLOSEに変えてしまった 。







『 閉めてしまうんですか ?! 』


「 ? ....... あぁ 、 はい 。 滅多に人など来ませんし 、最近の御注文は大抵が電話なので 。 」




『 は 、 はぁ ....... 』








なんて近代的な.......



あぁ、そうだ。

自己紹介をしなければ。






『 えっと 、 ....... 私こういうものでして ! 』







そう言って私は彼に名刺を渡そうとする 。



けど 、緊張しているのか余りの名刺をバラバラと

床にばらまいてしまった。






『 す 、すみません ....... ! 』


「 いえ 、 ....... 」





私がせっせとその散らばった名刺を拾っていると 、


視界に少し焼けた色の手が映る 。








『 えっ 、 ....... 』


「 少しおちゃめなんですか ? 」






そういった彼の声に顔をあげれば

こちらを向いて微笑んでいる 。





軽率にも私はその笑顔にキュンとしてしまった 。





だって 、あまりにも儚く笑うから 。







「 はは 、冗談です 。 ....... はい 、拾い終わりましたよ 。
立ち話はどうかと思って奥の席に案内しようとしていたんです 。こちらにどうぞ ? 」




『 そっ 、 そうだったんです 、ね ....... ありがとうございます ....... 』







私がさほど面白かったのか

彼はまだ口元を緩ませながら

奥の席に移動をしていた 。



私もそれを追いかける。





少しダサい姿を見せてしまったけど 、

次こそ失敗してはならない 。





しっかりしなくては 。






お互いが席に着いてから 、


室内に緊張感が走ったように感じた 。








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