それから3週間ぐらい。
スンチョルの姿は見てない。
いや私が見ないようにしてた。
ああやって吐き捨てた今
もう会うことなんてできないし
だから朝行く時間も帰る時間も変えて
学校では極力廊下に出る頻度を少なくした。
たまたま今日は誰とも会う用事がなくて
一人で学校近くのカフェで勉強。
一応夢はあるから
勉強は怠らずにやってる。
バッグの奥底の鍵を取ろうとしてると
掴まれた右手。
顔を上げれば見たことある顔。
久しぶりに私の前に現れた顔。
半ば強引に連れられて
久しぶりに入るスンチョルの部屋。
最後に入ったのいつだったっけ、
机の隅に置いてある彼女との写真。
目が眩む。見たくもない。吐き気がする。
スンチョルは変わってなくても
私は変わったの。
あなた見るたび苦しくなるの。
なんで隣にいるのが私じゃなくて別の女なんだろって。
あ、また。
自分の心が折れた気がする。
スンチョルの目。
今日で見るのは最後になるかな?
そうしなきゃ。
ケジメつけなきゃ。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!