第5話

叶わなかった夢。
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2022/04/10 13:12
???
???
僕の話をしようか




彼はそう言い、ゆっくりと話し始めた
???
???
君にこんな事言うのはエゴの押しつけだと思うけど
僕は生きている君が羨ましい。
生きていればなんだってできるし夢を掴むことも事によっては叶えることも容易なことだと思う。
だから僕は君の考えは甘ったれたものだと思う


彼の言葉が刺さる


分かってる



何甘いこと言ってんだって

皆同じように思ってるはず



それでも周りの人達はそれを隠して平然と毎日を過ごしてるんだって



そんなの分かってるよ
川上 由紀
川上 由紀
うん
私もそう思うよ
???
???
でも、君の辛さは君にしか分からない
他人が分かってあげようとかそんなのただの偽善だって思うのも分かる

僕もそうだったから……
川上 由紀
川上 由紀
あなたも?
???
???
うん
僕が病気だった時、周りは可哀想とか自分が変わってやれたらとかそんなことばっかで…
本当に変わることが出来たら拒否するくせにそんなこと簡単に言うんだよ

夢はあったんだ僕にも
川上 由紀
川上 由紀
どんな夢?
笑わないでよ?と笑いながら教えてくれた
???
???
・友達を作りたい
・外に出たい
・勉強がしたい
・花火をしてみたい
・カップラーメンを食べてみたい
・屋台にある食べ物を食べてみたい
・医者になりたい……かな?
川上 由紀
川上 由紀
沢山あるんだね
???
???
まあ、もう叶わない夢だけどね……





少し考えて彼に言う
川上 由紀
川上 由紀
叶えられることは私が叶えてあげるよ



自分でも何を言っているんのか分からなかった


でも






叶えたくても叶えられない夢……



叶えてあげたいって思った









ついさっきまで死にたいとか思っていた私が
何馬鹿なこと言ってるんだって……

そんなの…




???
???
本当に!?





でも、彼の喜ぶ顔を見たらそんな考えも消えていった
川上 由紀
川上 由紀
えっと、なんて呼べばいいかな?
叶多
叶多
うーん……
じゃあ叶多って呼んでよ!
川上 由紀
川上 由紀
叶多?本名なの?
叶多
叶多
ううん、違う
もうずっとここにいて
自分の名前も忘れちゃった(笑)
とりあえず、叶えたい夢が多いから叶多
安直だけどいいでしょ。
これからよろしくね?
川上 由紀
川上 由紀
うん。よろしく
私のことは由紀って呼んで
叶多
叶多
分かった!よろしくね、由紀!










その日から私と叶多の不思議な夏休みが始まった

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